お勧めの法律書百選・その3

その1その2に続き、その3。

日本人の法意識論から2冊紹介する。
川島武宜『日本人の法意識』は西洋法の伝統に対する日本人の前近代・封建的な法意識を指摘するもので、伝統的通説であった。これに対して様々な論者が日本なりの合理的な法観念の存在を主張してきた。大木雅夫『日本人の法観念』は比較法学者の視点から日本の法と権利の根拠付けを明らかにする。

FB友達に教えてもらった清水聡『気骨の判決―東條英機と闘った裁判官』。このブログでも照会したが、テレビドラマにもなり、舞台も上演されている。同じFB友達からは裁判官人事マニア向けとして新藤宗幸『司法官僚―裁判所の権力者たち (岩波新書)』も紹介された。
ブログコメントで紹介のあった山形道文『われ判事の職にあり』
「戦後の混乱期に餓死した山口良忠判事の伝記です。
その壮絶な最期から、時に過剰にその思想が喧伝されることもありますが、山口判事自身はそれほどアクの強い思想家ではなく、むしろ純朴な実務家であったという事実が弁護士である著者の地道な取材活動によって裏付けられています。
現在でも裁判官が「正義」の代理人(弁護士も検事もそうですが)のように、まるで宗教家のように捉えられていますが、むしろ自身の「正義」に殉じた人がどれほど普通の裁判官であったか本書で知ってもらいたいと思います。」