2022/09/05

パリ裁判所見聞

Img_3362_20220905204801 今回の出張の目的の一つは、新設されたパリの一審裁判所での審理のあり方を観察してくることであった。

建物自体が、コロナ直前にかつてのコンシェルジュリーとして用いられていたシテ島のPalais de justiceから、一審裁判所が新たなPalais de justiceに移転されていて、訪問しそびれたままコロナで渡航すら難しくなっていたが、今回ようやくその念願を果たすことができた。

場所はパリの北北西のペリフェリック上にあるPorte de Clichyにあり、地下鉄では13番と14番に駅があるほか、トラム3bの停留所も近い。

威容を誇る高さの建物だが、一審裁判所に用いられているのは、手前に張り出している6階建ての部分で、そこに各種の法廷がある。

一審裁判所と言っているのは、2020年から登場したTribunal judiciaireのことで、従来の簡裁と地裁が統合されてできたものだ。

そして当然ながら少額だったり日本で言えば家事審判になるような事件が多数係属して審理されるので、一人法廷が数多く設置されている。6階建ての中に、ガラス張りが大胆に取り入れられた開放的な、しかし狭い法廷が極めて多く配置されているのだ。

そして事件の表示は、各法廷の前に設置されたスクリーンに表示され、タブレット端末のように手でスクロールして見ることになっている。

ただし、そのスクロールはどうもうまく動かなかった。弁護士も動かそうとして舌打ちして苛立っていたので、例によって先進的だが使いにくいシステムを入れてしまったということなのだろう。

空いている法廷を探してうろつきまわっていると、機関銃を持った警察官に呼び止められてどこに行くのか聞かれたから、事件関係者ではなくて傍聴希望者だというと、親切に「この階の法廷は特に記載がない限り自由に見て良いから頑張って」と送り出された。

 

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2022/08/18

Book:スイス民事訴訟法概論

松村和徳先生と吉田純平先生の共著による大著『スイス民事訴訟法概論』を頂いたのでご紹介。

 

本格的な体系書であり、その歴史から日本の民事訴訟法の体系に近い形でスイス法が整理され、読みやすい。 

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2022/08/16

Book:小林秀之『民事訴訟法[第2版]』

既に古稀記念論文集も出た著者による教科書の改訂版を頂いたのでご紹介。令和4年IT化法による改正も解説対象となった初めての教科書である。


 


 

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2022/05/17

5月21日-22日は民訴学会

昨年、一昨年とコロナ禍の影響を真っ向から受けて遠隔実施となった民訴学会だが、今年はハイブリッド開催となった。

 

民訴学会ウェブサイト

 

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2022/04/22

外国で結婚した日本人夫婦の婚姻届提出とその後の処理

映画監督の想田和弘さんと柏木規与子が挑んだ夫婦別姓訴訟判決(東京地判令和3年4月21日PDF判決全文)は控訴されずに確定したが、その後、婚姻届を再提出するというニュースが現れた。

別姓婚 日本も有効?婚姻届再提出 瀬戸内の夫妻 戸籍に記載求め近く

記事によれば、「東京地裁が昨年4月、判決で婚姻関係を認めた一方、戸籍への記載は具体的な判断をしないまま請求を退けた」ということから、東京で婚姻届を提出し、役所が受け付けないであろうから、改めて家裁に不服申立ての請求をする予定だという。以下、代理人弁護士の弁。

「地裁が婚姻関係を認めている以上、役所が応じなくても、家裁が受理を命じる可能性は十分にある」と予想。「そうなれば、裁判所で婚姻関係が認められながら戸籍に記載できていないという不合理な状態の解消につながる」

なるほど頑張って欲しいところだが、この記事にはかなりミスリードな部分があるので、上記の判決文を読んでみないとよく分からなかった。

 

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2022/02/21

民訴教材:職分管轄違いで移送した先で口頭弁論を開かずに却下した事例

知財高判令和4年2月10日判決全文PDF

 

特許庁の拒絶審決に対する取消訴訟を東京地裁に提起したところ、東京地裁が民訴16条に基づいて事件知財高裁に移送し、その移送を受けた知財高裁が審決取消の訴えの出訴期間30日を経過していることを理由に補正の余地のない不適法な訴えであるとして、民訴130条に基づいて却下判決を下した。

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2021/12/16

民訴教材:妹名義の貸金返還請求権について妹名義で訴え提起した事例

弁護士、無断で訴訟か 裁判所が「不適法」認定(産経新聞)

Temis2_20200107190101 なかなか興味深い事例だが、実際に訴え提起してしまったのは弁護士の問題か、それとも当事者の問題か微妙だ。

記事によると、兄が妹の名で貸し付けて、その取立ての訴訟を弁護士に依頼したら、その弁護士代理人が妹を原告として訴え提起したらしい。

兄から訴訟委任を受けて妹に意思確認せず妹名義の訴状を起案提出したんだから、そこに懲戒ものの手抜かりがあったのだろう。
また債務者側でも、妹名義にかかわらず兄から借りた認識のようで、「債務者とされた被告側の男女2人も「女性から現金を借りた覚えはない」と主張」しているという。

そうだとすると、債権者は「妹こと兄」で債務者との間に貸金返還請求権の実体関係が成立しているのであるから、そのことを把握しているのであれば、代理人としては兄を原告とする訴えの提起をするだろう。

ところが妹名義の訴え提起をし、妹名義の訴状のみならず委任状も提出され、さらには「女性の署名と押印が入った陳述書も証拠提出され、「(貸金が)私自身の現金で間違いない」と記されていた。」という。この陳述書は誰が作ったのか、問題となる。

 

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2021/08/12

Book:新刊のご案内『民事裁判手続とIT化の重要論点ー法制審中間試案の争点』

山本和彦編『民事裁判手続とIT化の重要論点: 法制審中間試案の争点

 

 ジュリストに連載された原稿と座談会にアップデートを加えたもの。

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2021/02/20

Clubhouseでやる民事司法IT化中間試案たたき台をたたく会第三弾は、口頭弁論と争点整理手続

20日の18時から、Clubhouseでやります。吉井先生と吉峯先生の共同モデレータの下、口頭弁論と弁論準備手続を対象に行います。

 

中間試案のたたき台の項目では以下の通り。

5 口頭弁論p.14

6 新たな訴訟手続p.16

7 争点整理手続等p.20

 

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2021/02/13

Clubhouseの準備-中間試案たたき台前半

民事司法IT化の中間試案たたき台の前半は、下記のような項目だ。

20210213-1029581 総論p.2

2 訴えの提起,準備書面の提出p.7

3 送達p.7

4 送付p.13

5 口頭弁論p.14

6 新たな訴訟手続p.16

7 争点整理手続等p.20

 

その中の見どころ、考えどころを挙げていこう。

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