2023/01/21
2023/01/08
Wikipediaの記事を裁判に証拠として提出することの効果
学生が、学校のレポートとかでWikipediaを出典として挙げるという問題は、もう10年近く問題視されてきた。
これに対して裁判所にWikipediaの記事を証拠として提出することはどうか? 一般的には、よく思われない行為とみなされているのではあるまいか?
ところが、MITとアイルランドの大学の研究者が明らかにしたところによれば、裁判官の判断にWikipediaは計り知れない影響力があるというのだ。
Scientists Conclude that Wikipedia Influences Judges’ Legal Reasoning
2023/01/06
#訴訟記録 から紛争の相手方の住所を知り、殺害に及んだとされる事例
報道によれば、茅ヶ崎での殺人事件の犯人として出頭し、逮捕された被疑者が、次のように供述しているという。
神奈川県茅ケ崎市で男性を刺殺したとして逮捕された男が「裁判記録で住所を知った」との趣旨の供述をしたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。男は家賃を滞納して物件を所有していた男性に提訴されていた。
身柄拘束中の警察発表のことなので、真偽は不明だが、仮に報じられているとおりだとすると、訴訟記録や判決書の公開に対する大きな向かい風となる可能性のある出来事で、憂慮せざるを得ない。
2023/01/05
民訴IT化法による改正の施行日が複雑な件〜今年の2月20日から3月1日までと3月1日以降未定の期間の法律の見方
令和4年法律第48号による改正(この改正法を私は民訴IT化法と呼んでいる)には、100ヵ条をはるかに超える民事訴訟法の条文と見出しの改正があり、その中には条文番号も変更になるものが少しだけ含まれているが、それはごく僅かであった。
しかし、複雑なのは、民訴IT化法の1条による当事者の氏名住所の秘匿に関する規定と、2条によるIT化を中心とする規定とが分かれており、しかも1条で改正された条文をさらに2条で改正するという二段構えとなっていること、そしてそれとは別に、附則により施行日がさらに分けられていることだ。
附則(令和4年5月25日)1条には以下のように民事訴訟法本体の施行日がずれて規定されている。
民訴IT化法1条の規定→公布から9ヶ月以内(附則1条2号)
民訴IT化法2条のうち民訴89条の見出しと同条2項と3項を加える規定および173条3項を加える規定→公布から1年以内(附則1条3号)
その他→公布から4年以内(附則1条本文)
そして、この度、附則1条2号については令和5年2月20日施行、附則1条3号については令和5年3月1日施行ということが明らかになった(令和4年政令384号)
その他の規定は、依然として令和8年5月までのいつかに施行となっている。
2022/09/14
2022/09/05
パリ裁判所見聞
今回の出張の目的の一つは、新設されたパリの一審裁判所での審理のあり方を観察してくることであった。
建物自体が、コロナ直前にかつてのコンシェルジュリーとして用いられていたシテ島のPalais de justiceから、一審裁判所が新たなPalais de justiceに移転されていて、訪問しそびれたままコロナで渡航すら難しくなっていたが、今回ようやくその念願を果たすことができた。
場所はパリの北北西のペリフェリック上にあるPorte de Clichyにあり、地下鉄では13番と14番に駅があるほか、トラム3bの停留所も近い。
威容を誇る高さの建物だが、一審裁判所に用いられているのは、手前に張り出している6階建ての部分で、そこに各種の法廷がある。
一審裁判所と言っているのは、2020年から登場したTribunal judiciaireのことで、従来の簡裁と地裁が統合されてできたものだ。
そして当然ながら少額だったり日本で言えば家事審判になるような事件が多数係属して審理されるので、一人法廷が数多く設置されている。6階建ての中に、ガラス張りが大胆に取り入れられた開放的な、しかし狭い法廷が極めて多く配置されているのだ。
そして事件の表示は、各法廷の前に設置されたスクリーンに表示され、タブレット端末のように手でスクロールして見ることになっている。
ただし、そのスクロールはどうもうまく動かなかった。弁護士も動かそうとして舌打ちして苛立っていたので、例によって先進的だが使いにくいシステムを入れてしまったということなのだろう。
空いている法廷を探してうろつきまわっていると、機関銃を持った警察官に呼び止められてどこに行くのか聞かれたから、事件関係者ではなくて傍聴希望者だというと、親切に「この階の法廷は特に記載がない限り自由に見て良いから頑張って」と送り出された。
2022/08/17
Book:法情報の調べ方入門[第2版]
ローライブラリアン研究会編で、高名な同僚である指宿信教授も初版に関与していた本の第2版である。
多数の著者が関わっていて、代表者となった岩隈道洋先生はさぞ大変だったのではなかろうか。
ちなみに、成城大学の法情報資料室の金澤敬子さんも分担執筆者となっている。
2021/12/17
2021/11/14
2021/11/11
刑事確定記録の記事利用例
東京新聞「【独自】「軽い気持ちで賭けマージャン続けた」…黒川元東京高検検事長が後悔の供述 刑事裁判記録が本紙請求で開示」
11月11日付けの記事には、以下のように書かれている。
本紙は今年4月、黒川氏に関する刑事裁判記録の閲覧を東京地検に請求。昨年6~7月と検察審査会の「起訴相当」議決後の2~3月の取り調べに基づく黒川氏の供述調書7点のほか、記者らの供述調書、現場写真など約200枚分の記録が今月初めに開示された。
刑事確定訴訟記録法は、刑事訴訟法53条が誰にでも閲覧させる旨の規定をおいているのを受けて、具体的手続を定めるものであるが、法律上数多くの例外規定がある。
より以前の記事一覧
- 民事裁判IT化検討の中間試案たたき台・概要 2021.02.11
- Book:リーガルテック活用の最前線 2020.12.27
- 全国消費生活相談員協会のシンポジウムで民事裁判IT化とODRを説明 2020.12.22
- Web会議方式に対するプロテスト in France 2020.11.26
- 新しくなったe-gov 2020.11.24
- #法とコンピュータ学会 も #民事司法のIT化 がテーマ 2020.10.22
- 2020日米法学会シンポ・#民事裁判のIT化 2020.10.17
- シャルリー・エブドのテロ事件初公判と裁判の映像記録 2020.09.03
- 裁判例オープンデータ化論議と個人情報保護法 2020.08.08
- 全国条例データベースowered by eLen開放 2020.04.13
- MSのTeamsを使う司法のIT化 2020.01.11
- 最高裁の開廷期日情報に事件の概要が載る(追記あり) 2020.01.10
- 民事裁判等IT化研究会報告書の第一印象 2019.12.24
- Web:最高裁の判例提供が当事者名を実名にしている例(追記あり) 2019.07.02
- 知らなかったよ〜法令データ提供システムのHTTPS化 2019.06.29
- 倒産手続にもIT化を 2018.12.07
- 司法IT化が4行から17行にパワーアップ 2018.06.16
- 司法IT化検討会の第4回会議資料について 2018.01.30
- legal-info:下級裁判所の裁判書公開基準(原文も追記) 2017.12.29
- legal-info:判決文の公開は民主主義の基本 2017.12.27
- ITの発展と民事手続 2017.12.10
- court:最高裁が傍聴人に説明資料を配布(追記アリ) 2017.07.20
- Law:外国語、特に英語で法令を周知させる必要性が改めて示されている 2017.01.15
- code:模範六法 2016.12.07
- decision:著作権法判例百選の差止め取消し 2016.11.13
- web法庫管理人のご逝去 2016.11.03
- arret:最高裁が括弧書きで実務運用を指示した事例 2016.10.30
- e-law新たな法令作成支援データベース 2016.09.26
- 法情報学、本日はWestlaw Jp/international 2016.04.23
- 無料Internet法情報 2016.04.14
- legislation:改め文方式を考える 2016.04.05
- legal-info:法律条文の見出し 2016.01.03