2023/01/21

知財の重要判決も未公開のまま埋もれてしまう現状 by #谷川和幸 ・関西学院大学法学部准教授

Img_3438 研究室に戻ってメールボックスを見ると、「知的財産関係民事判決の公開状況について―東京・大阪以外の地方裁判所の令和元年知財判決全件調査」が送られてきていた。

著者は以前お会いしたことのある谷川和幸准教授で、掲載誌は知的財産法政策学研究65号1頁以下。

知財判決はほぼ全件、裁判所Webで公開されていると裁判所も自称していたし私もそう思っていたが、調べてみると、いやいやそんなことはなかった。

 

 

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2023/01/08

Wikipediaの記事を裁判に証拠として提出することの効果

学生が、学校のレポートとかでWikipediaを出典として挙げるという問題は、もう10年近く問題視されてきた。

これに対して裁判所にWikipediaの記事を証拠として提出することはどうか? 一般的には、よく思われない行為とみなされているのではあるまいか?

ところが、MITとアイルランドの大学の研究者が明らかにしたところによれば、裁判官の判断にWikipediaは計り知れない影響力があるというのだ。

Scientists Conclude that Wikipedia Influences Judges’ Legal Reasoning

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2023/01/06

#訴訟記録 から紛争の相手方の住所を知り、殺害に及んだとされる事例

報道によれば、茅ヶ崎での殺人事件の犯人として出頭し、逮捕された被疑者が、次のように供述しているという。

 神奈川県茅ケ崎市で男性を刺殺したとして逮捕された男が「裁判記録で住所を知った」との趣旨の供述をしたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。男は家賃を滞納して物件を所有していた男性に提訴されていた。

© 一般社団法人共同通信社

 身柄拘束中の警察発表のことなので、真偽は不明だが、仮に報じられているとおりだとすると、訴訟記録や判決書の公開に対する大きな向かい風となる可能性のある出来事で、憂慮せざるを得ない。

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2023/01/05

民訴IT化法による改正の施行日が複雑な件〜今年の2月20日から3月1日までと3月1日以降未定の期間の法律の見方

令和4年法律第48号による改正(この改正法を私は民訴IT化法と呼んでいる)には、100ヵ条をはるかに超える民事訴訟法の条文と見出しの改正があり、その中には条文番号も変更になるものが少しだけ含まれているが、それはごく僅かであった。

しかし、複雑なのは、民訴IT化法の1条による当事者の氏名住所の秘匿に関する規定と、2条によるIT化を中心とする規定とが分かれており、しかも1条で改正された条文をさらに2条で改正するという二段構えとなっていること、そしてそれとは別に、附則により施行日がさらに分けられていることだ。

Humoir 附則(令和4年5月25日)1条には以下のように民事訴訟法本体の施行日がずれて規定されている。

民訴IT化法1条の規定→公布から9ヶ月以内(附則1条2号)

民訴IT化法2条のうち民訴89条の見出しと同条2項と3項を加える規定および173条3項を加える規定→公布から1年以内(附則1条3号)

その他→公布から4年以内(附則1条本文)

そして、この度、附則1条2号については令和5年2月20日施行、附則1条3号については令和5年3月1日施行ということが明らかになった(令和4年政令384号)

その他の規定は、依然として令和8年5月までのいつかに施行となっている。

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2022/09/14

ポワチエの新裁判所見聞

パリもコロナ前に裁判所が新しくなっていたが、ポワチエもコロナ中に新裁判所ができていた。

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元は学校の建物を改装して作られている。

内部はこんな広間(Pas peudu)となっている。

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すりガラスの向こうが法廷である。パリと同様に、開廷している法廷は、その表示がタッチスクリーンパネルで表示されている。

 

 

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2022/09/05

パリ裁判所見聞

Img_3362_20220905204801 今回の出張の目的の一つは、新設されたパリの一審裁判所での審理のあり方を観察してくることであった。

建物自体が、コロナ直前にかつてのコンシェルジュリーとして用いられていたシテ島のPalais de justiceから、一審裁判所が新たなPalais de justiceに移転されていて、訪問しそびれたままコロナで渡航すら難しくなっていたが、今回ようやくその念願を果たすことができた。

場所はパリの北北西のペリフェリック上にあるPorte de Clichyにあり、地下鉄では13番と14番に駅があるほか、トラム3bの停留所も近い。

威容を誇る高さの建物だが、一審裁判所に用いられているのは、手前に張り出している6階建ての部分で、そこに各種の法廷がある。

一審裁判所と言っているのは、2020年から登場したTribunal judiciaireのことで、従来の簡裁と地裁が統合されてできたものだ。

そして当然ながら少額だったり日本で言えば家事審判になるような事件が多数係属して審理されるので、一人法廷が数多く設置されている。6階建ての中に、ガラス張りが大胆に取り入れられた開放的な、しかし狭い法廷が極めて多く配置されているのだ。

そして事件の表示は、各法廷の前に設置されたスクリーンに表示され、タブレット端末のように手でスクロールして見ることになっている。

ただし、そのスクロールはどうもうまく動かなかった。弁護士も動かそうとして舌打ちして苛立っていたので、例によって先進的だが使いにくいシステムを入れてしまったということなのだろう。

空いている法廷を探してうろつきまわっていると、機関銃を持った警察官に呼び止められてどこに行くのか聞かれたから、事件関係者ではなくて傍聴希望者だというと、親切に「この階の法廷は特に記載がない限り自由に見て良いから頑張って」と送り出された。

 

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2022/08/17

Book:法情報の調べ方入門[第2版]

ローライブラリアン研究会編で、高名な同僚である指宿信教授も初版に関与していた本の第2版である。

多数の著者が関わっていて、代表者となった岩隈道洋先生はさぞ大変だったのではなかろうか。

 

 ちなみに、成城大学の法情報資料室の金澤敬子さんも分担執筆者となっている。

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2021/12/17

大阪弁護士会と99.9のコラボ

こりゃーすごいというほかはない。


 

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2021/11/14

最近買った本:図説判決原本の遺産

最近買った本の中からご紹介。

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この本は、ごく薄いものだが、数多くの古い判決原本や裁判官等の写真があって、楽しめる。

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2021/11/11

刑事確定記録の記事利用例

東京新聞「【独自】「軽い気持ちで賭けマージャン続けた」…黒川元東京高検検事長が後悔の供述 刑事裁判記録が本紙請求で開示

11月11日付けの記事には、以下のように書かれている。

本紙は今年4月、黒川氏に関する刑事裁判記録の閲覧を東京地検に請求。昨年6~7月と検察審査会の「起訴相当」議決後の2~3月の取り調べに基づく黒川氏の供述調書7点のほか、記者らの供述調書、現場写真など約200枚分の記録が今月初めに開示された。

刑事確定訴訟記録法は、刑事訴訟法53条が誰にでも閲覧させる旨の規定をおいているのを受けて、具体的手続を定めるものであるが、法律上数多くの例外規定がある。

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