2021/04/28

arret:#六本木通り特許事務所 は商標として識別力なし

知財高判令和3年4月27日判決全文PDF

 

六本木通り特許事務所という名称を商標登録したところ、拒絶され、審決でも請求は成り立たないとされたので、審決取消の訴えを提起した。

問題は、○○通り○○事務所という事務所名が多数使われていることやそれぞれ一般的な名詞の組み合わせであることから、独占使用を認めるのが適当かという点と、自他役務の識別力もあるのかという点が挙げられている。

これについて知財高裁は以下のように判示した。

「六本木通り特許事務所」との文字は,六本木通りに近接する場所において本願商標の指定役務を提供している者を一般的に説明しているにすぎず,本願商標の指定役務の需要者において,他人の同種役務と識別するための標識であるとは認識し得ないものというべきであって,その構成自体からして,本願商標の指定役務に使用されるときには,自他役務の出所識別機能を有しないものと認められる。

 

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2021/04/27

ARRET:B型肝炎の再発に関する損害賠償と除斥期間

最判令和3年4月23日PDF判決全文

Temis2_20210427082401 集団予防接種でB型肝炎に罹患してしまった人たちの国賠請求で、除斥期間20年の経過が問題となり、その起算点を最初のHBe抗原陽性慢性肝炎

発症時(原告AはS62、BはH3)ではなく、一度寛解した後にHBe抗原陰性慢性肝炎の再発した時点(AはH19、BはH16)からと解すべきだとされた事例。

その理由として、以下のように判示している。

HBe抗原陰性慢性肝炎再発リスクは10%〜20%だが、その機序は医学的に解明されておらず、予見も不可能であるため寛解前の時点で再発分の賠償を求めることも不可能であるから、「以上のような慢性B型肝炎の特質に鑑みると,上告人らがHBe抗原陽性慢性肝炎を発症したことによる損害と,HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことによる損害とは,質的に異なるものであって,HBe抗原陰性慢性肝炎を発症したことによる損害は,HBe抗原陰性慢性肝炎の発症の時に発生したものというべきである。」

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2020/12/24

arret:上場時の有価証券届出書の虚偽記載を見抜けなかった主幹事証券会社の責任が認められた事例

最判令和2年12月22日判決全文PDF

事案は、東証マザーズに上場を果たした本件会社(エフオーアイ)の有価証券届出書に架空売上の計上があるなど虚偽記載があって、元引受契約を結んだ被上告人(みずほインベスターズ証券承継人)がそのことを見抜けなかったという場合に、本件会社の株式を取得した上告人株主が後に本件会社の上場廃止により被った損害の賠償を、金商法21条1項4号に基づき被上告人に求めたというもので、同条2項3号の免責の可否が問われている。

金融商品取引法21条の関係部分は以下の通りである。

 有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けているときは、次に掲げる者は、当該有価証券を募集又は売出しに応じて取得した者に対し、記載が虚偽であり又は欠けていることにより生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、当該有価証券を取得した者がその取得の申込みの際記載が虚偽であり、又は欠けていることを知つていたときは、この限りでない。
(1号〜3号略)
 当該募集に係る有価証券の発行者又は第二号に掲げる者のいずれかと元引受契約を締結した金融商品取引業者又は登録金融機関
 前項の場合において、次の各号に掲げる者は、当該各号に掲げる事項を証明したときは、同項に規定する賠償の責めに任じない。
(1・2号略)
 前項第四号に掲げる者 記載が虚偽であり又は欠けていることを知らず、かつ、第百九十三条の二第一項に規定する財務計算に関する書類に係る部分以外の部分については、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかつたこと。
Temis3 原審は、元引受契約を結んだ被上告人が虚偽記載を知らなかったことから、2項3号の免責を認めたが、最高裁は、原審の詳細な事実経過を引用した上で、そのような判断は是認し難いとして、破棄差戻ししたのであった。
その論理は以下の通り。
(1) 有価証券届出書の虚偽記載に元引受会社も責任を負うことを定めたのは、その専門的能力による調査を行わせて、虚偽記載の防止を図るためである。
(2) もっとも、財務計算部分についての独立監査人による監査を信頼して引受審査を行うことは許容されているが、その監査が信頼しうるものであることは前提として必要である。
(3) そうすると、引受審査に際して上記監査の信頼性の基礎に重大な疑義を生じさせる情報に接した場合には,上記監査が信頼性の基礎を欠くものではないことにつき調査確認を行う義務があり、これを怠れば、免責の前提を欠くことになる。
(4) かくして、「財務計算部分に虚偽記載等がある場合に,元引受業者が引受審査に際して上記情報に接していたときには,当該元引受業者は,上記の調査確認を行ったものでなければ,金商法21条1項4号の損害賠償責任につき,同条2項3号による免責を受けることはできないと解するのが相当である」と判示した。

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2020/12/05

京都造形芸術大学の公開講座「人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」に賠償命令

わいせつ作品上映で精神的苦痛、学校法人に賠償命令 ヌード美術史講座 東京地裁

Beaute_20201205133201 「京都造形芸術大学(現京都芸術大学) 芸術学舎」による表記の公開講座を受講した女性が、わいせつな動画や絵画を見させられて精神的苦痛を受けたとして30万円の賠償請求認容判決を受けたようだ。

 もっとも、この見出しから一般的に受ける感じは記事を読むとだいぶ中和される。

 

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2020/09/30

民訴教材:父を定める訴え

父を定める訴えの実例が、今年の5月に出ている。

千葉家裁松戸支部判決令和2年5月14日WLJ、LEX/DB

事案は、日本人女性Aが、婚姻関係にあったナイジェリア人のBと離婚後、同じくナイジェリア人のCと婚姻して、Bとの離婚後245日後にDを出産したというもので、父子関係の推定が問題となった。

コモンローの原則によれば,子が懐胎した時点又は子が出生した時点において母親が婚姻しているときは,その母親の夫が子の父親として推定される。また,ナイジェリアの裁判例においても,有効な婚姻期間中に出生した子は自動的に嫡出子と推定するとの判断手法が判示されている。

ということでDの父はCと推定されるが、他方でAの本国法である日本法によれば、離婚後300日以内に出生した子の父は前婚の夫と推定されるので、Dの父はBとも推定される。

こうした推定の重複があるときに、解決するのが父を定める訴え(民法773条)である。

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2020/08/04

arret:幼児の逸失利益について定期金賠償が認められた事例

最判令和2年7月14日(PDF判決全文


4歳の子がトラックにはねられて高次機能障害を負ったという事例で、18歳から67歳までの収入喪失に関する逸失利益を定期金賠償するよう求めて、原審もこれを認めたところ、被告側が定期金賠償は被害者の死亡により支払い義務の終期がくる性質の賠償について認められるものであるから逸失利益には妥当しないなどとして上告した。


最高裁は上告棄却。


一時金による逸失利益の賠償額算定は、不確実な将来予測とフィクションに基づくもので将来現実化した事情と乖離する可能性があり、また民法は一時金でなければならないという規定はおいておらず、かえって定期金賠償を前提とする民訴法117条があるので、損害の公平な分配のためには一時金賠償が妥当な場合もある。


 

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2020/08/03

arret:国賠の求償義務者複数は連帯債務を負う

最判令和2年7月14日(PDF原文

大分の教員採用試験不正に関して、収賄して不正を行った県職員やそれを黙認したり自らも不正を行ったりした職員らに対しては、不正で不合格となった受験生等への賠償金についての求償権が発生するところ、住民訴訟により求められた求償権の行使が複数の求償義務者に対する分割債務となるとの見解をとった原判決を最高裁は破棄して自判した。

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2020/04/07

jugement:SNSで自殺志願者を嘱託殺人

東京地判令和2年4月6日NHK報道

大学生の被告人(22)は、去年9月、ツイッターで自殺志願者を募り、連絡してきた当時36歳の女性を東京池袋のホテルで首を絞めて殺害したとして、懲役5年を言い渡した。

 

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2020/03/06

#消費者裁判手続特例法 による #共通義務確認訴訟、初判決、しかも勝訴!

COJ(消費者機構日本)の皆様、おめでとう御座います。

 

日本版クラスアクションとも呼ばれる消費者の集団的被害回復裁判手続、立法過程で酷く重いものにされてしまいましたが、それでもその活用を実践されたことは高く評価できると思います。

これからが大変ですね。

 

 

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2019/10/04

SLAPP訴訟にまたまた断罪

DHC会長に賠償命令、東京地裁 批判弁護士提訴は「違法」

 

訳のわからない行動ではあったが、自らが明らかにした政治家への資金提供について批判されると、名誉毀損といって訴えたDHC会長の訴えがSLAPP訴訟だとの反撃に遭い、敗訴したとのことである。

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