2022/11/24
2022/04/22
外国で結婚した日本人夫婦の婚姻届提出とその後の処理
映画監督の想田和弘さんと柏木規与子が挑んだ夫婦別姓訴訟判決(東京地判令和3年4月21日PDF判決全文)は控訴されずに確定したが、その後、婚姻届を再提出するというニュースが現れた。
別姓婚 日本も有効?婚姻届再提出 瀬戸内の夫妻 戸籍に記載求め近く
記事によれば、「東京地裁が昨年4月、判決で婚姻関係を認めた一方、戸籍への記載は具体的な判断をしないまま請求を退けた」ということから、東京で婚姻届を提出し、役所が受け付けないであろうから、改めて家裁に不服申立ての請求をする予定だという。以下、代理人弁護士の弁。
「地裁が婚姻関係を認めている以上、役所が応じなくても、家裁が受理を命じる可能性は十分にある」と予想。「そうなれば、裁判所で婚姻関係が認められながら戸籍に記載できていないという不合理な状態の解消につながる」
なるほど頑張って欲しいところだが、この記事にはかなりミスリードな部分があるので、上記の判決文を読んでみないとよく分からなかった。
2022/03/26
AV出演契約の拘束力は性的自己決定権放棄の限度で強制不能
18歳、19歳のAV出演契約取消権が、成年年齢引き下げに伴って失われてしまうことが問題視されている。
若年層AV出演問題。4月1日からこれまで使えていた未成年者取消権が使えなくなり、撮影されたものも取消できずにリリースされます。口八丁により契約してしまった場合、撮影現場で拒否しても消費者契約法は機能せず。酒・煙草・ギャンブルは20歳に据置き。整合性も取れていないhttps://t.co/6pWwhVHB7o
— 塩村あやか💙💛🐾参議院議員(りっけん) (@shiomura) March 23, 2022
しかし、この議論にいまいち乗り気になれないのは、20歳以上でも同じだと思うからで、もし特別法などで例外的に取消権を認めてしまったら反対解釈の根拠になってしまわないかとも心配する。
その他、高校生の問題に惹きつけた報道が目立ってしまったり、親の同意を得た出演には問題がないのかという事になったり、成年年齢の引き下げに伴ってクローズアップすることによる歪が出てくる。
2022/02/01
親子法制の改正要綱案2022〜懲戒権と再婚禁止期間の撤廃
法制審で、親子法制の改正要綱案が提出された。
時事通信:嫡出推定、婚姻後は「現夫の子」 再婚禁止期間を撤廃―民法改正・法制審要綱案
最高裁の違憲判断で見直したはずの再婚禁止期間は、この機会に撤廃し、婚姻前に懐胎した子でも婚姻中に懐胎したのと同様に夫の子と推定する。
また婚姻解消後300日以内に生まれた子はその解消前に懐胎したものと推定するので、婚姻解消後すぐに別の男性と結婚して出産した場合は嫡出推定が重なることになるが、その場合は現在父を定める訴えによって決めることになっているところを出生の直近の婚姻における夫の子と推定するとした。
これは今結婚している夫の方が養育環境が良いという判断だ。
2021/08/22
Book:女たちのポリティクス(読後感)
今年読んだ41冊目は、ブレイディみかこさんの女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち (幻冬舎新書)
期待通り、とても面白かった。
女性政治家たちの中でも、メイ首相のような徹底的にこき下ろされてしまう人もいれば、スタージョンとかAOC(アレクサンドリア・オカシオ=コルテス)とかアーダーン首相、サンナ・マリン首相などのようにプログレッシブと評されるダイナミズムの持ち主と、フェモナショナリズムを体現してしまうマリーヌ・ル・ペンやアリス・ワイデル、ジョルジャ・メローニ、シーブ・イェンセンといった右翼女性リーダーたち、それに独特の漬物石として評価に困っている風のメルケルと、ブレイディみかこさんの目から見ても実に多様な女性政治家たちが活躍している。
2021/05/03
同性婚と選択的夫婦別姓
大学の授業は二年連続のオリンピックシフトのせいで休日を奪われてしまったが、憲法記念日であるので、憲法に関することを考えてみた。
最近は憲法論議のホットイシューが多様化しているが、特に議論が盛んなのが、表題に掲げた同性婚と選択的夫婦別姓という2つのテーマである。家族関係には、他にも生殖補助医療の発達による親子関係のゆらぎが大きなイシューで、こちらの方はさほど政治的対立にならないせいか立法論議が静かに進んでいる感がある。とはいえ難しい問題だけに、スピードは遅いが。
それに対して選択的夫婦別姓が立法と司法の両フィールドでチャレンジされ、現状維持の厚い壁に阻まれつつも、導入を求める声がますます強まっているし、世論調査ではどうやら選択的夫婦別姓導入に賛成意見が多数を占めるようになってきたらしいというのが現状であろうか。それを背景に、立法論議が政権与党内でも盛んになってきているように見える。
また同性婚も、国の制度としてパートナーシップすら導入していない周回遅れの日本ではあるが、海外での同性カップル保護と法律婚承認の波に押されてか、次第に導入の是非をめぐる議論が高まっており、下級審の傍論とはいえ、同性カップルに婚姻制度の適用を全く認めない現状を違憲とする判決もだされている。
2021/04/26
2020/12/26
夫婦別姓の立法化を求める法学者・法曹の署名運動
表記の署名運動が、クリスマスイブに公表された。
2020年12月、自民党の内閣第一部会・女性活躍推進特別委員会は、第5次男女共同参画基本計画中の選択的夫婦別氏制度に関して、「選択的夫婦別氏制度」という記述をなくし、「戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史」や「家族の一体感」を検討の視点として書き加えるなど、当初の原案から大幅に後退する内容としましたが、審議の過程は国民に明らかにされていません。他方、12月、夫婦別氏の婚姻届を不受理とした処分を違憲として争う3件の事案が最高裁大法廷に回付されました。こうした情勢に鑑み、国会(各政党)、裁判所、法務省、内閣府そして広く有権者のみなさんに対して、法学者、法曹(弁護士)の立場から、同制度の早期実現について共同声明を出したいと考えます。いかがでしょうか。
趣旨にご賛同のみなさまには、ご氏名、ご所属等を下記署名フォームにご入力いただきますようお願い申し上げます。来年1月18日には、共同声明と賛同署名を公表し(記者会見)、上記各機関に送付する予定です。
2020年12月24日
共同声明呼びかけ人 二宮周平(立命館大学教授) 犬伏由子(慶應大学名誉教授)
棚村政行(早稲田大学教授) 床谷文雄(大阪大学名誉教授)
2020/12/05
京都造形芸術大学の公開講座「人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」に賠償命令
わいせつ作品上映で精神的苦痛、学校法人に賠償命令 ヌード美術史講座 東京地裁
「京都造形芸術大学(現京都芸術大学) 芸術学舎」による表記の公開講座を受講した女性が、わいせつな動画や絵画を見させられて精神的苦痛を受けたとして30万円の賠償請求認容判決を受けたようだ。
もっとも、この見出しから一般的に受ける感じは記事を読むとだいぶ中和される。
2020/11/29
#性被害者のその後 at NHK
日曜朝のNHKで「“その後”を生きる~性暴力被害者の日々~」が放映されていた。
ハッシュタグ #性被害者のその後 を生み出したエミリさんが、自らの姿をカメラに出して、性暴力の被害の重さ、いつまでも消えないPTSDなど、深刻さと犯罪の重大さを訴えている。
より以前の記事一覧
- event:大阪より、来たれリーガル女子 2020.11.27
- ポスター:全国シェルターシンポ 2020.11.13
- 民訴教材:父を定める訴え 2020.09.30
- Book:#日本女性法律家協会 70周年のあゆみ 2020.06.13
- 夫婦別姓を求めてあえて離婚したご夫妻の話 2020.02.16
- Grec史上初の女性大統領は裁判官 2020.01.24
- comic:恋と国会(1) 2020.01.19
- Book:法と心理学への招待 2020.01.05
- 民事裁判でBlackboxに光が差し込む 2019.12.18
- Book:パパは女子高生だった(読了) 2019.10.29
- Femme:厚労省による困難を抱えた女性支援・報告書 2019.10.09
- jugement:同性カップルの事実婚 2019.09.19
- Symposium:子の最善の利益保護とADR(家事調停)のあり方 2019.05.27
- politique:野田聖子議員による女性政治塾 2019.02.27
- child:共同親権問題 2019.02.17
- femme:全国女性シェルターネットによる野田市女児殺害事件への声明 2019.02.14
- Lawyer:女性法曹の割合 2019.02.10
- edu:大学のセンセイが女子学生にミニスカ履いてこいという 2019.01.27
- Mariage pour tous au Japon 2019.01.21
- edu:順天堂大学に見る公平と差別 2018.12.11
- 流行語トップテンに #MeToo 2018.12.04
- Korea:養育費管理員 2018.10.28
- mariage_pour_tous:渋谷区役所に婚姻届を出しに行ったゲイ・カップルの話 2018.10.05
- lawyer:またまた夫婦別姓の選択を求める動き 2018.09.28
- Juge:藤井(桜井)龍子・元最高裁判事 2018.09.18
- 子の最善の利益保護とADR(家事調停)のあり方 2018.07.15
- 論文紹介:岡本昌子DVと刑事法 2018.05.14
- 論文紹介:安井英俊・DV事案における面会交流の可否 2018.05.11
- Bio-ethics:両親の死後に凍結受精卵から誕生 2018.04.13
- police:ストーカー緊急禁止命令 2018.03.04
- policy:夫婦別姓選択制を容認する人たちの割合が増える 2018.02.11
- action:凍結受精卵を無断で着床して出産した場合と父子関係 2017.12.13
- UN:女性に対する暴力撤廃の国際デー 2017.11.25
- childcare:熊本市議会 #緒方夕佳 議員の行動 2017.11.24
- election:2017年衆院選の女性候補者割合比較 2017.10.11
- FRANCE DV被害者に「妻の務めを果たさないから・・」という判事 2017.06.09
- Feminisation女性が増えるとその業界の賃金水準が下がる 2017.05.12
- FPICとは家庭問題情報センター 2017.04.08
- DVの定義 2017.03.19
- judge:今年の新任判事補中女性は38.5% 2017.01.17
- Book:例題解説DV保護命令/人身保護/子の引渡し 2016.10.31
- America:トランプ候補の女性観 2016.10.16
- DV:近藤恵子さん、怒りの告発 2016.07.07
- comic:そこをなんとか・まとめ買いセール 2016.06.21
- DVシェルターの場所を漏洩して、警察が謝罪 2016.06.01
- H28男女共同参画白書 2016.05.31
- event:女性法曹の社会的意義を考えるシンポジウム 2016.05.30
- NHKクロ現+でDVが取り上げられる。 2016.05.12
- 台湾のDV保護命令手続に見る被害者保護の手厚さ 2016.05.05
- Book:Law and Policy on the Domestic Violence in Japan 2016.04.16
- DV加害者の更生はどうなってる? 2016.04.08
- event:家族のあり方を改めて考える(2/22) 2016.02.11
- 最近のDVとストーカーに警察は積極的になっている模様 2016.02.03
- J. Sauvageさん、大統領恩赦により減刑決定 2016.02.01
- 離婚届用紙に対する小さなジェンダー的いちゃもん 2016.01.17
- 同居の恋人間DV保護命令が443件 2016.01.02
- politique:男性国会議員の育児休業←追記あり 2015.12.23
- politique:事実婚女性にやじを飛ばした国立市議会議長の辞職 2015.12.22
- media:産経新聞の知的レベルの低さが現れた記事 2015.12.21
- femme別姓夫婦では大臣でも不便 2015.12.15
- RDDの弊害〜夫婦別姓賛否のNHK調査について 2015.12.07
- Sainte Catherineの日は国際DV防止デー 2015.11.25
- 夫婦と姓のあり方を考えるenquete 2015.11.22
- blog:資生堂ショックに外野からなにかいう時の必読エントリ 2015.11.10
- 3WCWS一日目のダイジェスト 2015.11.04
- WCWS:第3回世界女性シェルター会議 2015.11.03
- event:均等法は白鳥になれたか&岐路に立つ日本 2015.10.24
- femme:マタニティーマーク、遠慮しないでどんどん使おう 2015.10.18
- event:キャンパスセクハラはなぜなくならないか 2015.10.16
- UN:女性の活躍促進に胸を張る首相がすべきこと 2015.09.29
- FRANCE 2のDV特集 2015.09.24
- tax:配偶者控除を夫婦控除へ 2015.09.14
- また、DV被害者の住所が漏れる 2015.08.22
- event:国際人権の観点から家族法を考えるシンポ 2015.07.24
- フランスのDV対策2014-1016 2015.07.06
- 男女平等を目指す国連運動に327,836番目の賛同 2015.06.23
- 国際女性の日IWDに来た広告 2015.03.08
- Family law :韓国の親子関係存否確認の法制度 2015.02.20
- page 3:ヌード写真の新聞掲載 2015.01.23
- jugement:DVに対して包丁で刺して死なせた事案に正当防衛を認めた判決 2015.01.16
- prison:刑務所収監中に出産する場合、手錠をはめられていた運用が変更 2014.12.30
- misc:ナンパは新聞沙汰になるほどの犯罪らしい 2014.12.23
- family:面会交流の妨害行為で親権者を変更した事例 2014.12.18
- event:アジアの女性に対する暴力被害者支援・連続企画 2014.11.03
- 中国のDV被害者の惨状と日本 2014.09.30
- HeForSheキャンペーンとエマ・ワトソン 2014.09.24
- フランスのDV被害者のための新しい武器:緊急電話 2014.09.21
- DV被害者保護措置に関する世田谷区の行い 2014.09.03
- Blog:痴漢を突き動かす心理 2014.08.21
- divorce:面会交流調停増加のニュース 2014.08.18
- divorce:離婚をめぐる統計 2014.08.13
- edu:女子学生のための内閣府見学 2014.08.09
- fem:「女は下や」発言の真意 2014.08.07
- penalcourt:精神鑑定に全裸検査 2014.08.07
- news:代理出産で障害ある子が産まれたら引き取り拒否 2014.08.05
- UN:女性に対する暴力に対処するための立法ハンドブック 2014.08.03
- news:家事ハラ騒動、その後 2014.08.01
- 安倍首相の国家公務員女性比率3割以上はスゴいか? 2014.07.13
- life:女性は産む機械になれと? 2014.07.04
- news:ストーカー殺人事件 2014.05.03
- ジェンダー研修受講中 2014.04.13
- 世界の殺人とDVの割合 2014.04.11
- 韓国のDV対策法・予習メモ 2014.02.18
- 女性の人権hotlineの不通放置事件 2014.02.12
- Fordham大学にMaschi准教授を訪ねる 2014.02.07
- event:地域から考えるDV防止法・DV施策の課題と展望 2014.01.28
- arret:性別を男性に変更した者を父とする嫡出推定を認めた事例 2013.12.11
- 国際DV対策デーは11月25日 2013.11.20
- divorce:養育費や面会交流の取り決め 2013.08.19
- DV被害者が裁判員になることのメリット・デメリット 2013.08.16
- 北海道ではDVとストーカー相談が激増している 2013.07.26
- 民法750条違憲訴訟が棄却 2013.07.04
- female:出産が切り開く議会の「産休」 2013.06.17
- 大阪の母子餓死事件、これもDV被害の結果か 2013.05.29
- police:ストーカー対策に警告よりも治療 2013.05.04
- law:女性だけにある再婚禁止期間 2013.05.03
- law:面会交流強行論に梶村太市教授が一撃 2013.04.26
- DVと民事手続法とはどう関係するのか 2013.04.21
- DV被害者はなぜ救われないか〜DV対策の実効性と将来展望〜 2013.04.16
- event:シンポジウム「DV被害者はなぜ救われないか」 2013.04.11
- ヴァレンタインデーには、Break the Chainを踊ろう 2013.02.08
- Istanbul:家族と暴力に関するカンファレンス(2) 2012.11.29
- Istanbul:家族と暴力に関するカンファレンス(1) 2012.11.25
- 警察がDV・ストーカー被害者の意思決定を支援 2012.07.05
- デートDVないしストーカー、声を上げるのをためらう気持ち 2012.06.23
- DV:宮崎家裁のミス 2012.06.15
- family:中小企業のための両立支援 2012.06.05
- 平成23年のストーカーとDV統計 2012.03.22
- news:清瀬市で女性を拉致し、高崎で捕まるストーカー 2012.01.14
- 法制定・施行から10年を迎えたDV対策の課題 2011.08.28
- DVは同時に児童虐待でもある 2011.08.22
- デートDVの調査@神戸 2011.08.07
- DVの市町村基本計画策定の遅れ 2011.08.06
- DV被害を検察審査会が不起訴不当と議決し、略式起訴 2011.07.21
- デートDV出前講座@茨城 2011.07.21
- arret:長久手町立てこもり殺人事件最高裁決定 2011.06.16