フランスの司法信頼度調査2024
フランス司法省は、2024年におけるフランス本土およびマイヨットを除く海外領土の25000人のフランス国民を対象として、インターネットと電話アンケートの二段階による意見調査を行って、フランスの司法に対する信頼度を調査した。
調査報告書 Enquête sur la justice en France (EJF)
内容のあらましであるが、まず、司法に対する信頼度はフランス人の49%が信頼していると回答するにとどまっており、これは他の公的機関に対する信頼度と比較すると極めて低いと分析されている。
このグラフを拡大して見ていただくと、憲兵(フランスの警察は憲兵と自治体警察に分かれ、刑事警察としては憲兵の方がより身近かな存在かもしれない)とか公衆衛生に関わる機関などと比べて司法の信頼度はかなり低いことが分かる。
なぜこのように司法に対する信頼は低いのか、司法に対する不満点は「遅い、高い、言葉がわかりにくい」の三点に集約される。
こうした司法に対する信頼度は、司法制度をよく知っている層でと中程度に知っている層とで大きく異ならず、ほとんど、あるいは全く知らない層については意見なしの割合が高くなる。
司法に関わった経験があるかないかということでも、信頼度の低さは大きくは変わらない。興味深いことに、自分の関わった事件の処理について満足したという人であっても、司法に対する一般的な信頼度の低さは変わらないという。
要するに、司法に対する信頼の低さは、無知や無経験の故であるという制度設営者側の思い込みは否定され、実際にわかりにくく、遅く、高コストだということなのであろう。
そして、司法手続に関するオンライン化にとっても不都合なことに、デジタルデバイドで弱い立場にある人たちは、オンライン手続に困難を覚え、その結果、司法手続に対する不信にもつながっているというのである。
このことは、近い将来の全面オンライン化を予定している日本においても、特に日本では本人訴訟の割合が高いことから、もって他山の石とすべきポイントかもしれない。
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