聖霊降臨祭の翌月曜日はお年寄りと障害者の連帯の日
フランスに2年とか1年とか住んだことがあると言っても、知らないことはまだまだ沢山ある。
復活祭=イースター=パックの翌日の月曜は、ランディ・パックといって休日になることはよく知っていたが、聖霊降臨祭=Pentecôteの翌日の月曜日も、キリスト教国では一般に休日となる。
ところが、フランスでは、普段の仕事をして賃金を寄付するという日になったという。これは今日、街でばったりとあった知り合いのフランス在住の日本人に教えてもらったのだった。
なんでそうなった?
画像はPar Auteur inconnu — bibliothèque nationale du pays de Galles, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=44768060
30年前の初めての留学の時より後のことだが、2003年にフランスは記録的な熱波Caniculに襲われ、2万人近くの人が亡くなった。そのせいで、フランスでもクーラーがある程度普及するようになったし、日本と同じように熱中症注意の対策指南やら警告やらがテレビによく出るようになった。その熱波の対策として、2004年にラファラン首相がLoi n° 2004-626 du 30 juin 2004 relative à la solidarité pour l'autonomie des personnes âgées et des personnes handicapées(高齢者および障害者との連帯および自立に関する2024年6月30日法律626号)を制定した。
この法律により、労働法典に「連帯の日」という一節を設けて、労働者に対しては無償労働の日を設定し、使用者に対しては賃金総額の0.3%という拠出金制度を設定した。原則として無償労働の日は労働協約で5月1日以外の日に定められるが、その労働協約がない場合はle lundi de Pentecôte、すなわち聖霊降臨祭の翌日月曜日とするとされた。
なお、このような制度の先駆は、ドイツ法にあるようだ。
そして、フランス人は黙っておらず、初めての無償労働の日となった2005年のlundi de Pentecôteはストライキの嵐となったようだ。
2008年、サルコジ政権の下で再び制度が動き、連帯の日は残ったものの、それをLundi de Pentecôteとするデフォルト規定は無くなった。
現在の労働法典L.3133-7条から連帯の日が定められ、無償労働の日または7時間を労働協約で定めて使用者は拠出金を出すということになっているが、その協約がない場合は使用者が独自に決めることができるという規定になっている。
Lundi de Pentecôteは、元の通りに休日となったが、しかしこの日に連帯労働をすると決めている企業はある程度あるのかもしれない。少なくともポワチエの街の情景を見るに、ほとんどのお店や事業所は休みで、休日にも営業するカフェの他には若干の事業所が動いているに過ぎない。
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