Book:彷徨う者たち
今年読んだ4冊目は中山七里の『彷徨う者たち』
今年になって彼の宮城県警シリーズを読んでいるが、『護られなかった者たち』も『境界線』も屈託をかかえた笘篠刑事が主人公で、彼の心象の動きが物語にからんでいたが、本作は、その相棒である蓮田刑事の過去が問題となる。
そして、背景となる社会問題は、東日本大震災後の仮設住宅とその後の移住先とコミュニティの破壊という問題である。
蓮田刑事は、大震災の時に家族が被害を受けなかったことに引け目を感じており、さらには幼馴染の一人との過去の因縁から自由になれない。そのような心の屈託が、密室状態の仮設住宅で発見された死体の殺人事件捜査の中で解きほぐされていくというところであろうか。
主人公とならなかった笘篠刑事は、組織の論理に必ずしも従わないで成果を上げる存在で、いわば記号のような形で蓮田刑事に横付けされている。
なお、昨日本屋で買って、帰りの電車と夜中のベットで読み切ってしまった。
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