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2025/01/26

Book:立証

今年読んだ7冊目は、深谷忠記氏の『立証』。

20250126-115215 解説によれば2007年に『傷』というタイトルで発表され、2011年に改題されて『立証』という文庫で出て、2022年に新装版がでたとのこと。

したがって、物語の時代背景はスマホ以前の世界である。

深谷忠記氏の作品は、このブログでは『執行』というのを取り上げていた。死刑執行と冤罪に関する話で印象深いものであった。

ところで、この立証というタイトルには「コンダクター」とルビのようなものが記されている。英語題名としてConductorという漢字にもなっている。立証という邦題というのか、それには読んだ後でもあまりピンとこないのだが、「コンダクター」というのはもうそのものズバリという漢字であり、これはすなわち一種のネタバレ題名なのかもしれない。

しかし、以前の作品でもそうだったが、複数の物語が同時に出てきたりするし、それぞれの登場人物が多く、しかも最初に出てくる原暁美という被告人の話は、一応主人公のように登場人物欄に書かれている弁護士のこだわりを示す素材でしかないので、固有名詞はいるのかという疑問もある。そのお父さんの名前とか、一々出てきて、要するにたくさんの人が固有名詞で出てきて、主人公だった二、三人いるし、それぞれの配偶者やら秘書やらも固有名詞が与えられていて、誰が重要なのかがわからないまま重要な人物たちの話になる。

Junrei 人の名前を覚えるのが苦手な私としては、火事で死んだカップルの名前を見たときに、既に忘却の彼方で、しばらく読み進んで思い出して前の方を確認するという読み方を余儀なくされた。

要するに難しいのである。

でも、とても面白く、後半は一気読みとなってしまった。

そして感心するのは、ネタバレせずに解説が上手に本書を紹介しているところだ。読んだ後で解説を読むと、「ああ、あの話か」となるけど、それ自体が興を削ぐようなネタバレになっていない微妙な書き方。村上青史さんも素晴らしい。

 

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