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2025/01/31

Jugement:原発事故に関する東電取締役等の任務懈怠により東電に与えた損害の賠償を命じた株主代表訴訟

東京地判令和4年7月13日PDF判決全文裁判所判例Watch

Temis2 東電の取締役等4名に対して、13兆3210億円の損害賠償を東京電力に対して支払えとの主文である。

前提事実だけでも82頁、判決文全体は別紙を除いても413頁もある。

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2025/01/26

Book:立証

今年読んだ7冊目は、深谷忠記氏の『立証』。

20250126-115215 解説によれば2007年に『傷』というタイトルで発表され、2011年に改題されて『立証』という文庫で出て、2022年に新装版がでたとのこと。

したがって、物語の時代背景はスマホ以前の世界である。

深谷忠記氏の作品は、このブログでは『執行』というのを取り上げていた。死刑執行と冤罪に関する話で印象深いものであった。

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2025/01/21

Book:アオキくんはいつもナス味噌

今年読んだ6冊目は、一橋大学教授の青木人志先生が出された自伝的エッセイ集ともいうべき『アオキくんはいつもナス味噌

1961年に生まれ、私大勤務も国立大勤務も経験された法学部の先生ということで、私とほぼほぼ同じ条件の研究者であり、最後までたいへん共感を持って読んだ。

20250121-45920 文中にも出てくる「シラケ世代」というのは、私の記憶ではやや上の世代(2、3歳ほど上)に与えられたレッテルで、私がシラケ世代と言われたのは高校時代だったように思う。それでも、私たちの世代に対するレッテルとしてぴったりで、いわゆる全共闘世代やその余韻が強く残る先輩たちからすると、ノンポリという言葉が使われなくなるほどに政治的なパッションがないのが普通に見える、その意味でシラケている世代というわけである。もちろん、ゲバ棒とヘルメットでデモに参加する行動には出なくとも、実存主義の申し子さながらに悩み戸惑うことは普通にあり、シラケと言われるほどに無気力無関心だったわけではない。学生運動のようなわかりやすい単一目標に向けた直接行動に全員が立ち上がるというような構図に、背を向けたり、斜めに構えたりしがちな世代ということなのかもしれない。

 

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2025/01/19

arret: 第二次大戦戦没者合祀絶止等請求事件最高裁判決

最判令和7年1月17日〔判決全文PDF裁判例Watch

Temis1petite_2  韓国籍の上告人らの父親が旧日本軍の一員として亡くなり、戦後に国の情報提供によって靖国神社が合祀したという事例において、上告人らは合祀のために行われた国の情報提供行為を不法行為として、国家賠償を求めたという事件である。

 原審は、情報提供行為が昭和34年、本件訴え提起が平成25年ということで、除斥期間が経過していることを理由に請求棄却の結論をとった。

 これに対して上告受理が申し立てられ、除斥期間に関する判断への不服が受理されたが、結論としては除斥期間を主張することが信義則違反ないし権利濫用となる事情はないとして、上告を棄却したという物である。

 少数意見として、尾島明裁判官が補足意見を、三浦守裁判官が反対意見を付けている。

 興味深いのは、三浦裁判官の反対意見で述べられている合祀の際の国の協力措置である。

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2025/01/18

Book:准教授・高槻彰良の推察11

今年読んだ5冊目は『准教授・高槻彰良の推察11

20250118-121740 神隠し体験を持つ先生と、黄泉の国との接点で物を食べたため半分あの世の存在になってしまい、嘘が聞き分けられるようになってしまった学生とのコンビの話も、もう11作目である。

ちょうど2年前のBook:准教授・高槻彰良の推察8 呪いの向こう側以来、この欄で紹介するのをサボっていたようだが、9巻と10巻も読んでいる。

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2025/01/17

天童竜美弁護士、爆誕

今期はリーガルドラマが少ないようではあるが、将棋指しの弁護士という企画の「法廷のドラゴン」が始まった。

 

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2025/01/16

生成AIもどんどん賢くなっている

先日、生成AIで色々なことができるようになってすごいという話をとあるシンポで聞き、ChatGPTも使えるという声があったので、久しぶりに試してみた。

すると、以前はできなかったWeb上のデータ閲覧、特にWikipediaとか大学などの公式ページの情報などを参照し、実在の人物質問には正確に答えられるようになっていた。

自分の名前で誰か聞いてみると、以前はアニメソングのライターとか幻想を振り撒いてくれて、その後のネタに活用させていただいたレベルだったが、今はWikipediaや成城大学のサイト、から正確に情報を拾い、しかも出典元にリンクしてくれている。

 

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arret:海外の臓器あっせん業が臓器移植法違反に問われた事例

東京高判令和6年12月6日PDF判決全文裁判例watch

NHKニュース

無許可で臓器提供あっせんした罪 NPO法人理事に2審も実刑判決

Temis2

高裁は、基本的に原判決の判断を肯定し、臓器移植法の「目的や基本的理念が、移植医療の適正な実施、臓器提供の任意性の確保、移植術を受ける機会の公平性の確保等にあり(同法1条、2条)、国外における移植術に関しても、許可を受けない者が業として臓器のあっせんを行った場合には、原判決が指摘するとおり、前記のような臓器移植法の目的や基本的理念に反する種々の弊害の生じるおそれがあることに鑑みれば、あっせん行為の一部又は全部が国内で行われる限り、それが国外における移植術に関するものであっても、臓器移植法12条1項の定める厚生労働大臣の許可が必要であると解するのが相当である。」と判示した。

また、「本件各行為は、移植実施施設と移植希望者との間の仲介行為に過ぎないから、同条項の「あっせん」には該当しない、と主張する」所論に対しては、その場合でも臓器移植法の基本的理念等に反する弊害の生じることが想定されるので、狭く解する必然性はないとした。

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2025/01/15

Book:彷徨う者たち

今年読んだ4冊目は中山七里の『彷徨う者たち

20250115-115730 今年になって彼の宮城県警シリーズを読んでいるが、『護られなかった者たち』も『境界線』も屈託をかかえた笘篠刑事が主人公で、彼の心象の動きが物語にからんでいたが、本作は、その相棒である蓮田刑事の過去が問題となる。

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2025/01/11

TV:日本一最低男に #中山美穂 がご出演

フジテレビの連ドラ「日本一の最低男」を見ていたら、中山美穂が元気な姿で出演していてびっくり。

Carnaval テレビ局から退職を余儀なくされた中年男が区議会議員に立候補するためにイメージアップ作戦として亡き妹の残した家族と同居して子育てを頑張る姿をSNSにアップするという不純な動機から始まる子育て生活だが、当然ながら、家事育児をナメてたツケが襲いかかる。

しかし、最低と言う割には、第一回から子どもの心をつかんだり、仕方なくとはいえ仕事を放りだして熱を出した子どもを迎えに行ったりと、世の中にはもっと無責任な親がいっぱいいるぞーという感じはする。完全な悪役になってしまえば物語が発展しないし、さりとて「最低男」という看板に偽りがありすぎてもどうかとは思う。

で、そんなドラマの中に、中山美穂が出てきたのだ。

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2025/01/10

Book:境界線

今年読んだ3冊目は、中山七里氏の『境界線

20250110-230704 先に読んだ『護られなかった者たちへ』の続編というか、宮城県警シリーズという名称で同じ登場人物が別の事件を扱う。

しかも、普通は事件の関係者は毎回変わるように思うが、『境界線』で重要な役割を演じる人物が、既に『護られなかった者たちへ』でも登場していたので、その点でも興味深い。

 

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2025/01/09

jugement:ビットトレント利用者の発信者情報開示命令

Temis1 東京地判令和6年12月16日(判決全文PDF

本件は、ビットトレント利用者の発信者情報開示命令に対する異議審で、開示命令認可の判決が下されたものである。

ビットトレントはいわゆるP2Pファイル共有システムであり、動画共有に利用されている。既に二、三年前から大量の発信者情報開示請求事件が係属して、豊富な裁判例を生み出してきた。本件は発信者情報開示命令の中でその一事例を積み重ねるものである。

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2025/01/08

jugement:留置担当官が被疑者ノートを15分間持ち去った行為の違法性を認めた事例

札幌地判令和6年12月3日PDF判決全文裁判所判例Watch

Temis2 事案は、子供の監禁容疑で逮捕された母親が、被疑者弁護人の勧めに従って黙秘に転じた後にも取り調べが継続していた状態で、弁護人が差し入れた被疑者ノートについて留置担当官による持ち物検査で点検され、一部が破損して修繕が必要だからという理由で被疑者ノートを持ち去り、被疑者の見えないところに15分間置いていたというもので、原告は黙秘後の取調べの違法、接見内容を聞き出そうとした接見交通権侵害、被疑者ノートを閲覧した接見交通権侵害、そして15分間持ち去った点での接見交通権侵害を主張して国家賠償を求めた。

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2025/01/06

Book:護られなかった者たちへ

今年読んだ2冊目は、中山千里さんの『護られなかった者たちへ

20250106-112001 映画原作となっているので、見るべきリストに入れてある。

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2025/01/05

Cinema:ミステリと言う勿れ

今年観た映画の一本目は地上波での「ミステリと言う勿れ

 

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2025/01/04

Book:十字屋敷のピエロ

今年読んだ1冊目は、東野圭吾の『十字屋敷のピエロ』新装版である。

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東野圭吾は好きな作家ではあるが、数が多すぎて全部を把握できず、読んだか読んでないかもよくわからない作品がたくさんある。これもその一つで、1989年の作品であるから読んだことがあるような気もしたが、読んでみたら初見だった。

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2025/01/03

鳥取・河原城

鳥取市の郊外に、きれいな天守閣が作られている河原城を見に行った。

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2025/01/02

白兎神社のお参り

鳥取砂丘にほど近い日本海に面したところに白兎神社がある。

Img_7900 本日はそこにお参りしてきた。

因幡の白兎の物語は古事記にも日本書紀にもある、大国主命の話であり、この白兎神社は、白兎神を主神とする神社である。

因幡の白兎は皮を剥がれて塩水で痛めつけられたところを大国主命によって癒やし方を教えられたという逸話なので、従って医療の発祥の地だということである。

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2025/01/01

2025年あけましておめでとうございます

2024年は、消費者団体訴訟に関する科研の最終年ということもあり、成果発表を各地で行う年でした。

2025 適格消費者団体連絡協議会の場を借りて中間報告を行い、5月に北海道で開かれた法社会学会学術大会で個別報告を行いました。

その後は、差止請求権の行使、適格消費者団体の実態、そして差止請求訴訟の整理とに分けて公表する作業を行い、適格消費者団体の組織と財務に関する実情報告だけは2024年中に公表できましたが、差止請求権の行使と訴訟上の行使に関する論考は今年、公表予定です。

 

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