Jugement:原発事故に関する東電取締役等の任務懈怠により東電に与えた損害の賠償を命じた株主代表訴訟
東京地判令和4年7月13日(PDF判決全文)裁判所判例Watch
東電の取締役等4名に対して、13兆3210億円の損害賠償を東京電力に対して支払えとの主文である。
前提事実だけでも82頁、判決文全体は別紙を除いても413頁もある。
東京地判令和4年7月13日(PDF判決全文)裁判所判例Watch
東電の取締役等4名に対して、13兆3210億円の損害賠償を東京電力に対して支払えとの主文である。
前提事実だけでも82頁、判決文全体は別紙を除いても413頁もある。
今年読んだ6冊目は、一橋大学教授の青木人志先生が出された自伝的エッセイ集ともいうべき『アオキくんはいつもナス味噌』
1961年に生まれ、私大勤務も国立大勤務も経験された法学部の先生ということで、私とほぼほぼ同じ条件の研究者であり、最後までたいへん共感を持って読んだ。
文中にも出てくる「シラケ世代」というのは、私の記憶ではやや上の世代(2、3歳ほど上)に与えられたレッテルで、私がシラケ世代と言われたのは高校時代だったように思う。それでも、私たちの世代に対するレッテルとしてぴったりで、いわゆる全共闘世代やその余韻が強く残る先輩たちからすると、ノンポリという言葉が使われなくなるほどに政治的なパッションがないのが普通に見える、その意味でシラケている世代というわけである。もちろん、ゲバ棒とヘルメットでデモに参加する行動には出なくとも、実存主義の申し子さながらに悩み戸惑うことは普通にあり、シラケと言われるほどに無気力無関心だったわけではない。学生運動のようなわかりやすい単一目標に向けた直接行動に全員が立ち上がるというような構図に、背を向けたり、斜めに構えたりしがちな世代ということなのかもしれない。
韓国籍の上告人らの父親が旧日本軍の一員として亡くなり、戦後に国の情報提供によって靖国神社が合祀したという事例において、上告人らは合祀のために行われた国の情報提供行為を不法行為として、国家賠償を求めたという事件である。
原審は、情報提供行為が昭和34年、本件訴え提起が平成25年ということで、除斥期間が経過していることを理由に請求棄却の結論をとった。
これに対して上告受理が申し立てられ、除斥期間に関する判断への不服が受理されたが、結論としては除斥期間を主張することが信義則違反ないし権利濫用となる事情はないとして、上告を棄却したという物である。
少数意見として、尾島明裁判官が補足意見を、三浦守裁判官が反対意見を付けている。
興味深いのは、三浦裁判官の反対意見で述べられている合祀の際の国の協力措置である。
今年読んだ5冊目は『准教授・高槻彰良の推察11』
神隠し体験を持つ先生と、黄泉の国との接点で物を食べたため半分あの世の存在になってしまい、嘘が聞き分けられるようになってしまった学生とのコンビの話も、もう11作目である。
ちょうど2年前のBook:准教授・高槻彰良の推察8 呪いの向こう側以来、この欄で紹介するのをサボっていたようだが、9巻と10巻も読んでいる。
先日、生成AIで色々なことができるようになってすごいという話をとあるシンポで聞き、ChatGPTも使えるという声があったので、久しぶりに試してみた。
すると、以前はできなかったWeb上のデータ閲覧、特にWikipediaとか大学などの公式ページの情報などを参照し、実在の人物質問には正確に答えられるようになっていた。
自分の名前で誰か聞いてみると、以前はアニメソングのライターとか幻想を振り撒いてくれて、その後のネタに活用させていただいたレベルだったが、今はWikipediaや成城大学のサイト、から正確に情報を拾い、しかも出典元にリンクしてくれている。
東京高判令和6年12月6日(PDF判決全文)裁判例watch
無許可で臓器提供あっせんした罪 NPO法人理事に2審も実刑判決
高裁は、基本的に原判決の判断を肯定し、臓器移植法の「目的や基本的理念が、移植医療の適正な実施、臓器提供の任意性の確保、移植術を受ける機会の公平性の確保等にあり(同法1条、2条)、国外における移植術に関しても、許可を受けない者が業として臓器のあっせんを行った場合には、原判決が指摘するとおり、前記のような臓器移植法の目的や基本的理念に反する種々の弊害の生じるおそれがあることに鑑みれば、あっせん行為の一部又は全部が国内で行われる限り、それが国外における移植術に関するものであっても、臓器移植法12条1項の定める厚生労働大臣の許可が必要であると解するのが相当である。」と判示した。
また、「本件各行為は、移植実施施設と移植希望者との間の仲介行為に過ぎないから、同条項の「あっせん」には該当しない、と主張する」所論に対しては、その場合でも臓器移植法の基本的理念等に反する弊害の生じることが想定されるので、狭く解する必然性はないとした。
今年読んだ4冊目は中山七里の『彷徨う者たち』
今年になって彼の宮城県警シリーズを読んでいるが、『護られなかった者たち』も『境界線』も屈託をかかえた笘篠刑事が主人公で、彼の心象の動きが物語にからんでいたが、本作は、その相棒である蓮田刑事の過去が問題となる。
フジテレビの連ドラ「日本一の最低男」を見ていたら、中山美穂が元気な姿で出演していてびっくり。
テレビ局から退職を余儀なくされた中年男が区議会議員に立候補するためにイメージアップ作戦として亡き妹の残した家族と同居して子育てを頑張る姿をSNSにアップするという不純な動機から始まる子育て生活だが、当然ながら、家事育児をナメてたツケが襲いかかる。
しかし、最低と言う割には、第一回から子どもの心をつかんだり、仕方なくとはいえ仕事を放りだして熱を出した子どもを迎えに行ったりと、世の中にはもっと無責任な親がいっぱいいるぞーという感じはする。完全な悪役になってしまえば物語が発展しないし、さりとて「最低男」という看板に偽りがありすぎてもどうかとは思う。
で、そんなドラマの中に、中山美穂が出てきたのだ。
今年読んだ3冊目は、中山七里氏の『境界線』
先に読んだ『護られなかった者たちへ』の続編というか、宮城県警シリーズという名称で同じ登場人物が別の事件を扱う。
しかも、普通は事件の関係者は毎回変わるように思うが、『境界線』で重要な役割を演じる人物が、既に『護られなかった者たちへ』でも登場していたので、その点でも興味深い。
東京地判令和6年12月16日(判決全文PDF)
本件は、ビットトレント利用者の発信者情報開示命令に対する異議審で、開示命令認可の判決が下されたものである。
ビットトレントはいわゆるP2Pファイル共有システムであり、動画共有に利用されている。既に二、三年前から大量の発信者情報開示請求事件が係属して、豊富な裁判例を生み出してきた。本件は発信者情報開示命令の中でその一事例を積み重ねるものである。
札幌地判令和6年12月3日(PDF判決全文)裁判所判例Watch
事案は、子供の監禁容疑で逮捕された母親が、被疑者弁護人の勧めに従って黙秘に転じた後にも取り調べが継続していた状態で、弁護人が差し入れた被疑者ノートについて留置担当官による持ち物検査で点検され、一部が破損して修繕が必要だからという理由で被疑者ノートを持ち去り、被疑者の見えないところに15分間置いていたというもので、原告は黙秘後の取調べの違法、接見内容を聞き出そうとした接見交通権侵害、被疑者ノートを閲覧した接見交通権侵害、そして15分間持ち去った点での接見交通権侵害を主張して国家賠償を求めた。
今年読んだ1冊目は、東野圭吾の『十字屋敷のピエロ』新装版である。
東野圭吾は好きな作家ではあるが、数が多すぎて全部を把握できず、読んだか読んでないかもよくわからない作品がたくさんある。これもその一つで、1989年の作品であるから読んだことがあるような気もしたが、読んでみたら初見だった。