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2024/06/09

Book:「裁判官」の良心とはなにか

今年読んだ18冊目は、話題の国を提訴した部総括判事の『「裁判官の良心」とは何か

竹内浩史裁判官は、弁護士任官で裁判官となった経歴であり、また裁判官ネットワークの残された中心メンバーでもある。

 

Liser1_20210407112001 裁判官の良心という言葉はもちろん憲法76条3項の「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」から来ている。裁判官の独立を象徴する言葉でもある。

しかし、この良心を組織への忠誠心みたいに捉えてしまうと、限りなく他律的でエゴイスティック(自己中心的というより自己の属する組織中心的)な判断に凝り固まることになる。

このあたりの違いが、判事補から任官した裁判官と弁護士任官者とでどう変わってくるのか、もちろん裁判官の個性により大きく異なり、弁護士任官かどうかで決定的に違うと決めつけるのは単なる偏見だが、個々の裁判官の本音を伺ってみたいところであり、本書は、そのような意味で極めて興味深い。

判事補から任官した裁判官には、岡口元判事もいたし、寺西元判事もいた。そのような著名人のみならず、個人的に知り合った裁判官にも、上記の偏見を打ち破る感じの方が何人もいて、その背景にも興味があるところではあるが、ともかくも竹内裁判官の著作は、彼のバックグラウンドと本音を知るうえで貴重な内容であった。

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