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2023/12/24

離婚の際の親権帰属がこうなるという見取り図

法制審議会家族法制部会第35回会議(令和5年12月19日開催)で示された要綱案案とその補足説明資料について、内容と順番を協議離婚と裁判離婚、そして親権と監護権の定め方という形に再構成してみたので、ここに共有しておく。

個人的な備忘録であり、特に内容に関する評価は加えておらず、それは今後の課題となる。また養育費や面会交流などの改正要綱は後日、補充して、とりあえず親権帰属の改正案に限っての整理である。

誤解している部分があれば、ご指摘を賜りたい。

1.協議離婚する場合の親権
 (1)協議により決められる場合(第2・2(1)ア)
  親権者を父もしくは母またはその双方と定めることができる。
 (2)協議が調わないか協議できない場合(第2・2(1)オ)
  親権者指定の申立てにより、家庭裁判所が父母の双方または一方を親権者と定める。
 (3)離婚届は親権者指定またはその審判・調停申立てがあることを要件とする。(第2・2(2)①②)

2.裁判上の離婚の場合の親権(第2・2(1)イ)
 家庭裁判所が、父母の双方または一方を親権者と定める。

3.家庭裁判所が親権者を指定する際の判断要素(第2・2(1)キ)
 (1) 子の利益のため、父母と子の関係、父母間の関係、その他一切の事情を考慮する
 (2) その際、以下のいずれかに該当するなど、共同親権が子の利益を害すると認められるときは、父母の一方を親権者と定めなければならない 
  ①父または母の子に対する虐待(心身に害悪を及ぼすおそれ)がある場合
  ②父母間のDV(身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動=暴力等)のおそれの有無、協議不調の理由その他の事情から、親権共同行使が困難と認められるとき
 (3) 親権者変更の申立てとその判断要素
   親権者変更は子またはその親族の請求により家庭裁判所が行う(第2・1(1)カ)。
   親権者変更の際の考慮要素は一般に単独親権者指定の場合と同様である(第2・1(1)キ)。
   父母の協議により定められた親権者を変更する際の考慮要素は、さらに、協議経過とその後の事情の変更その他の事情を考慮する。その際暴力等の有無、調停・ADR利用の有無、公正証書作成の有無なども考慮する(第2・1(1)ク)。

4.父母の一方が親権者の場合の親権・監護権の行使
 親権者が単独で(第2・1(1)ア)、子の利益のために行使する。(第1・2)
 ただし、子の養育に対する責任は、親権の所在に関わらず父母の双方が負う(第1・1)

5.共同親権の場合の親権・監護権の行使(婚姻継続中と共通)
 (1) 監護者指定をしない場合
   親権・監護権は共同で(第2・1(1))、子の利益のために行使する。(第1・2)
   ただし、他の一方が親権を行えない場合(第2・1(1)イ)と子の利益のため急迫の事情があるとき(第2・1(1)ウ)は、一方のみが親権・監護権を行使できる。
   監護および教育に関する日常の行為に係る親権の行使は単独で行うことができる(第2・1(2))。
   日常の行為に属さない親権・監護の特定の事項に親権者間で協議が調わない場合、その特定事項についての親権行使者を家庭裁判所が指定する(第2・1(3)、補足説明8頁(2))。
 (2) 監護者を父母の一方に指定する場合
   指定された監護者が820条〜823条までの親権・監護権を単独で行使する(第2・3(2)ア)。
   他の親権者はその行使を妨げられない(第2・3(2)イ)。
   ただし、監護の範囲外の親権(824条の法定代理権など)は共同で行使する(補足説明9頁16行目「なお〜」)。
 (3) 監護の分掌を定める場合
   監護の一定の範囲を父母の一方に委ねる定めを、協議により、または家庭裁判所の審判により定める(第2・3(1)、補足説明9頁(3))。
   ただし、この場合も監護の範囲外の親権(824条の法定代理権など)は共同で行使する(補足説明9頁16行目「なお〜」)。

 

Mamabebe

 

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