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2023/08/10

cinema:サントメール ある被告

今年見た4本目は「サントメール ある被告

被告とあるが、フランス重罪院で裁かれる被告人accuséeのことである。

 

ストーリーは、15ヶ月の赤ちゃんを海に捨てて殺したことで重罪院に起訴された女性ロランスの裁判を、作家で大学講師の女性ラマが傍聴するというもの。Saint Omerというのは裁判が開かれる地方都市の名で、被告人はセネガル出身、ラマはパリ在住。そして過去の回想シーンとか心象風景とかが断りなく出てくるので、誰の回想なのか誰の心の風景なのかが分からず、最初は混乱した。また、被告人もラマも特に母親との確執を過去に抱えており、かつラマは妊娠4ヶ月であり、被告人が子供を身ごもった状況から出産後に至るまでの不可解な行動、そして子殺しに至るまでの不明確な心の裡をラマは自分のことのように重ね合わせて苛まれる。

もう一つ、パンフレットによれば、監督のアリス・ディオップもラマと似た立場にあって、それが映画に色濃く重苦しさを与えていく。

Justicepolonaise

なお、フランスの地方都市における重罪院の裁判風景が、陪審員選定のところから終盤まで、リアルに再現されているところも、実在の裁判をモデルに、その記録を用いて作成しただけあって、非常に見応えがある。

ていうか、フランスの裁判所の傍聴に行っても、映画みたいに字幕があれば分かりやすいなぁと、しょうもない感想を抱いた。

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