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2023/01/21

知財の重要判決も未公開のまま埋もれてしまう現状 by #谷川和幸 ・関西学院大学法学部准教授

Img_3438 研究室に戻ってメールボックスを見ると、「知的財産関係民事判決の公開状況について―東京・大阪以外の地方裁判所の令和元年知財判決全件調査」が送られてきていた。

著者は以前お会いしたことのある谷川和幸准教授で、掲載誌は知的財産法政策学研究65号1頁以下。

知財判決はほぼ全件、裁判所Webで公開されていると裁判所も自称していたし私もそう思っていたが、調べてみると、いやいやそんなことはなかった。

 

 

谷川先生は、司法行政文書の開示制度を用いて、最高裁に地裁・高裁の知的財産権関係民事事件のすべての裁判所名、事件番号および終局日がわかる文書の開示を求め、首尾よくリストを入手された。

そして公開されている裁判例との比較において、公開事件数や率を算出された。さらに未公開事件を記録閲覧によって重要と思われるものを調査紹介されている。

全くすごい労作である。

その結果、令和3年までの5年間で、知財高裁では97.7%の公開率を誇るが、大阪高裁では59.3%の公開率にとどまり、東京地裁本庁では87.1%、大阪地裁本庁では77.3%、そしてその他の地裁に至っては4.1%しか公開されていないのである。

まあ、その他の地裁で知的財産権関係事件が係属することは、管轄規定のために少ないのであり、実数としても5年間で6件というレアな存在ではあるが、それでも146件中6件しか公開されていないという現実ではある。

さらに谷川先生は、令和元年に関して全件調査を実施され、先例的価値を有するかもしれない判決がどれくらい埋もれているかを、特に公開率が低い東京大阪以外の地裁の令和元年判決27件を調査された。個々の研究結果について興味がある方は、ぜひ、原文を当たられたい。

https://www.juris.hokudai.ac.jp/riilp/wp-content/uploads/2022/12/f484134c4db4c7b9f6af1c24f1aff57a.pdf

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