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2023/01/23

ChatGPTでレポートは書けるか? 民訴一行問題でやってみた。

ChatGPTが話題である。

20230123-50910

というか、その存在を知るよりも先に、アメリカの学校がChatGPTの利用を禁止したというニュースがあり、日本でもどうする、特にレポート出してChatGPT使って答えを書いてきたらどうする?という議論に接することになった。

生徒と教師によるChatGPTの利用をニューヨーク市が禁止

人工知能に書かせた米大学生のレポートがA判定に 「盗作チェックソフトウェアは検出ができない」

これについては、むしろChatGPTを使ってもいいけど、使ったらそのことを明記した上で、その答えの当否を論ぜよという問題にするというNote記事があった。

ChatGPT時代にレポート課題は成立する?

これはなるほどの解決である。そこで、仮想的に民訴のレポート課題を出した時にChatGPTがどんな答えを出すのか、見てみた。

 

問:必要的共同訴訟とは何か?

ChatGPTの答え

「必要的共同訴訟」とは、複数人が同じ事件に関連して訴えを起こし、それらを一つの訴訟としてまとめることを指します。これは、訴訟費用や時間の節約、証拠の収集などの効率化を図るために行われます。

いや、違うやろ、それは普通の共同訴訟であって、「必要的」の意味が捉えられてないやろ。

ニセ関西弁を使いたくなるような答えを返してくれてのけぞったが、学生がこれをうのみにするのは弊害が大きすぎる。昔、できの悪い学生が作ったノートが出回り、統一的な間違いが蔓延したのを思い出す。

それではこれはどうか?

問:固有必要的共同訴訟とは何か、具体例を示して論じなさい。

ChatGPTの答え

「固有必要的共同訴訟」は、複数人が同じ事件に関連して訴えを起こし、それらを一つの訴訟としてまとめることを指します。これは、訴訟費用や時間の節約、証拠の収集などの効率化を図るために行われます。

ただし、「必要的共同訴訟」と異なり、「固有必要的共同訴訟」は、複数人が起こした訴訟に共通した因果関係がある場合に限られます。例えば、製造業者が不良品を出荷したために複数人が被害を受けた場合、被害者たちが訴えを起こし、それらを「固有必要的共同訴訟」としてまとめることができます。

前半は「固有」がないときと全く同じだった。そして後半は、なるほど具体例を上手に示して説明しているが、全然間違っている。

それでは、目先を変えて、次のような問を出してみよう。

問:訴えの利益と当事者適格の異同を論じなさい。

ChatGPTの答え

訴えの利益は、訴訟を起こすことで得られる利益を指します。例えば、賠償金を求めるために訴訟を起こす場合、訴えの利益は賠償金です。

一方、当事者適格は、訴訟を起こすことができる人や団体を指します。当事者適格には、法律上の要件があります。例えば、傷害賠償請求訴訟の場合、被害者だけが訴訟を起こすことができます。

訴えの利益と当事者適格は関連していますが、異なる概念です。訴えの利益は、訴訟を起こす理由であり、当事者適格は、訴訟を起こすことができる資格です。当事者適格を満たしていなければ、訴えの利益にかかわらず訴訟を起こすことはできません。

うーむ、これはちょっと問題が難しすぎたのかもしれない。解答もあちこちバグっているが、微妙に正しそうなところもある。例えば「傷害(ママ)賠償請求訴訟の場合、被害者だけが訴訟を起こすことができます。」というあたりは、まさに当事者適格の問題を言い当てているが、レポートではなぜそうなるのかを説明しないとならないわけだ。

そして肝心の両者の異同は、両者が基本的に同一の内容を客体面と主体面とに分かれて現れている問題だという点が全く捉えられていないようなので、もう少し機械学習をしてから出ないと、使えないなぁ、しかし学生がそのまま鵜呑みにする可能性は十分にあるなぁという感じであった。

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