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2023/01/09

LAWCLERK: フリーランスの弁護士

「私、失敗しないので」という決め台詞で有名な大門未知子こと、米倉涼子が、似たようなコンセプトを狙って元弁護士として登場するドラマが「リーガルV」だったが、それよりもむしろドクターXに近い存在の弁護士が、アメリカでは台頭してきているらしい。

それが、LAWCLERKという会社が提供する派遣弁護士。

 

ここは、どうやら、アメリカの法律事務所に助っ人となる弁護士を派遣するというコンセプトのようであり、2018年に創業という比較的新しい業態である。

そして、2021年には、オンラインでの時間貸し弁護士というオプションも揃えたという。

Job_bengoshi_woman 要するに、オンラインマーケットプレイスで、一方では弁護士の登録を募り、他方では有能な弁護士を必要としている法律事務所(あるいは一般企業も?)の会員を募り、その会員がマケプレ上で自らの案件に必要な弁護士を登録弁護士の中から探してアプローチするという仕組みである。弁護士版プラットフォームとも言えようか。

弁護士ドットコムなど日本でも似たような機能を果たしうるプラットフォームはあるし、また主として一人または少人数の法律事務所の間で案件ごとに協力をしてきたことを考えれば、それほど突飛なことではない。

ということで日本でもできそうな話ではあるが、興味深いのは、別の利用形態だ。

アメリカを舞台とする弁護士のマーケットプレイスには、日本の弁護士も登録することができるのであろうか?もし登録できて、その得意業務としては当然ながら日本語による法的交渉や日本法、更には日本での訴訟代理などが考えられるのであり、それはアメリカの法律事務所にとっては一定の需要があるのではないか? アメリカにいる日本人弁護士は、その資格がアメリカであればもちろん、日本の弁護士資格があっても、日本での交渉事や訴訟ではオンライン化が不十分な段階では結局のところ日本に来るか、日本でのエージェントを雇わざるを得ないのであるから、それだったらこのマーケットプレイスで日本プロバー弁護士を雇うか、あるいは時間貸しで作業をしてもらうというのは良いアイディアかもしれない。

あるいは逆に、日本の弁護士がアメリカでの訴訟なり交渉なりを行う必要に迫られたとき、日本でアメリカ人(企業)相手に確定判決をとったけどアメリカでそれを強制執行するのに行き詰まってしまうという場合も、このオンラインマーケットプレイスでアメリカ弁護士の専門家を雇うことができれば、より安上がりではないか。

大きな法律事務所やいわゆる渉外事務所でなくても、普通の街弁でも、渉外案件ができるかもよ、という希望に満ち溢れたニュースであった。

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