Book:弁護士のための史上最悪の離婚事件
しかしまあ、依頼人側は依頼人側で、法的な常識というのはないのだし、例えば慰謝料の相場観なんかもニュースで見るような芸能人離婚話で出てくる金額とかが印象に残っているし、それに弁護士との契約も報酬とか自由に決められるという前提には自由競争市場が成り立っていることがあるのが当然だから、例えば大根の値段や品質を複数の八百屋やスーパーで見比べて安くて良いものを選びたいという行動にはでる。そのような場合に、消費者としては原価がどれくらいかというのは知らされておらず、また品質を見る目というのも大根のようなモノと違って専門サービスは良し悪しを判断しようもないという暗闇の中で選びざるを得ない。
その上、本書の題材である離婚事件は、離婚の意思が固まっているケースとそうでないケースとは当然あるわけだし、意思が固まっていると自他ともに思っていても揺れる場合はあり、それは一概に非難すべきことではない。
というようなことは離婚を扱う弁護士さん皆さん重々承知の上で、なお、どういう行動が求められるのかというのは、考えてみると面白いテーマではある。
そんなこと、つらつら思いながら読ませていただきました。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- Book:幽霊認証局(2025.05.08)
- Book:リーガルーキーズ(2025.05.09)
- Book:殺人者(2025.05.07)
- Book:天使の審判(2025.05.06)
- Book:刑事弁護人(上・下)(2025.05.05)
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
「法と女性」カテゴリの記事
- 夫婦別姓選択制は戸籍制度の破壊?(2025.05.01)
- UK最高裁によるトランスジェンダーと平等権(2025.04.17)
- Book:裁判官三淵嘉子の生涯(2024.05.30)
- Book:同性婚と司法 by 千葉勝美(2024.03.26)
- 離婚の際の親権帰属がこうなるという見取り図(2023.12.24)
コメント