Book:フランス7つの謎
今年読んだ63冊めは小田中直樹さんの『フランス7つの謎』
これは面白い。特に端書きでフランスにカルチャーショックを受けるという話は、全フランス留学経験者に共通のものではなかろうか?
また歴史の専門家だけに、歴史的な分析が心地よく展開される。
中でも一番目からウロコだったのが、ライシテの話であり、日本のような政教分離で他文化に寛容な、少なくともヘジャブを禁止したりしない国からみてフランスはなんて偏狭なんだと思っていたが、小田中さんが一言でまとめてくれた。
「不寛容で平等な国フランスに対して、不干渉で差別する国日本」というわけだ(少しワーディングが違うが)。
しかしねぇ、あいだはないのかと。寛容でいて平等は重んじるという国があっても良さそうだが。
ただまあ、宗教に関しては、やはりフランスだとその歴史的な経緯に照らして、寛容とは言っていられないということなのだろう。というのも、主戦場は隣だったとはいえ当事国だった30年戦争、ローマ・カトリックと王権との対立抗争、革命政府と教会との対立にナポレオンの融和、そして20世紀のライシテと、ここまではカトリックとの流血の歴史だったし、それに反ユダヤ主義も絡み、さらにイスラムとの対立もツールポワチエの戦いまで遡るが20世紀末からのイスラム原理主義とテロリズムに対峙してきた。こうした歴史を踏まえると、寛容とは言っていられなくなるのかもしれない。
その他、なぜ学生がデモをするのかとか、大学生はエリートにあらずということに結びつけているのが興味深かったが、しかし、それはどうかな?
グランゼコールの学生たちがデモをしたらさすがのフランス人もびっくりするだろうと書かれているが、グランゼコールを出ているはずの裁判官とかも、デモはする。やはりデモとかストとかは、民衆の意思表明の一手段として民主主義に組み込まれていて、イレギュラーな、窮鼠猫を噛む的な位置づけにはとらえられていないのだろう。
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