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2022/08/15

Book:先祖探偵 #新川帆立

今年読んだ46冊目も、新川帆立さんの先祖探偵

 

 著者は次々と新境地を切り開いていて、しかも多作というスタイルだが、これまで読んだ剣持麗子その事務所の話とか、競争の番人とか、それぞれシリーズ化されてもおかしくないキャラを設定している。今後はそのシリーズ化に乗り出すのだろうか、それとも舞台を次々と新しくしていくのだろうか?

今回の主人公は弁護士ではなく、出生の謎を抱える施設育ちの調査業者であり、その名前「風子」というのは、作品中で親のない子に付けられる名前なんだということが示されている。

その彼女がやるのは、依頼者の先祖の情報を調べるという、NHKのファミリーヒストリーを一人でやるような仕事である。

そして、何人か出てくる依頼人たちの中でも、一番印象的なのは、ご先祖の祟りで息子が奇行の発作を起こすから、先祖を調べてほしいというものである。

息子の奇行がなぜ先祖の祟りだと言うことになるのかは、ちょっとよくわからなかったが、ともかくそういう依頼は何度かあって、いわば要注意依頼なのだが、事務所の賃貸人の頼みでは断りきれないで、さらなるスピリチュアルな世界に迷い込んでいくのだ。

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この世の困りごとをスピリチュアルな世界のせいにして、しかもその橋渡し役が出てくるなど、今話題の統一教会を持ち出さずとも、消費者法的には詐欺の典型なのだが、大金をむしり取られたわけではなさそうなので、まあそういうお話かというところだ。

なお、主人公は探偵と名乗ってはいても、探偵業法上の探偵ではないということで、その登録はしていない。

そして、法的なところとしては、いわゆる「無戸籍」の人の問題が取り上げられているのが興味を引く。

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