Book:消費者法の作り方ー実効性のある法政策を求めて
丸山絵美子先生の編著で、執筆陣には多数の懇意にしている先生方が参加されている『消費者法の作り方』を頂いた。
本書は科研費プロジェクトを土台としており、ベルギーやイギリスでの海外調査や共同シンポジウムが企画されていたが、残念なことにCovid-19により国際シンポは頓挫してしまったとのことである。
本書の大きな特徴の一つとしては、行動経済学への着目という点が挙げられよう。もちろん、消費者法学において行動経済学に着目する流れはもうかなりの歴史があり、本書独自というわけではないが、本書ではかなりの分量を割いている。
本書(というよりも科研費プロジェクトのというべきか)全体の構成は、以下の五点にまとめられている。
①消費者保護立法における価値論の整理
規制強化は消費者の全体の利益につながらないのかどうか。
②法規範の存在形式と過剰・過少規制の問題
具体性の高く射程の狭い規範の利点と問題点
③隣接諸科学との関係性
特に行動経済学の知見
④目的達成のための規制手段の選択
公法私法の役割分担や社会法との関係など
⑤立法の評価
特にエビデンスベースと言われ、立法事実が問われることの意味。
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