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2022/02/24

jegement:外国事業者に対する発信者情報開示請求が欠席判決で認容された事例 #データマックス #データミックス

東京地判令和3年11月12日判決全文PDF

Temis2 データ・マックスという情報会社がブルーホストというアメリカの企業のホスティングするサイト上で会社の綻びを黙ってやるから会員になれというような営業をしていることなどの情報操作をしていると書き込まれたことが名誉毀損に当たるとして、発信者情報開示を求める訴えを提起したものである。

興味深いのは、これが適式な呼び出しを受けたにもかかわらず応訴しないことで、擬制自白となっていること、にもかかわらず上記に一部引用した原告の社会的評価を貶める書き込みについては「証拠により」認定し、その書き込みが原告の社会的評価を低下させるものと評価していることである。

その一方で、「違法性阻却事由が存在しないこと」については、擬制自白を認めている。

色々と興味深い。

公示送達なら擬制自白にならないので、証拠に基づく認定が必要であるが、外国企業に対して公示送達をしてもその判決効が相手国で承認されることは見込めないだろうから、意味はない。

そこで苦労して現実の送達をしたのだろうが、その上で欠席なら全部自白したものとみなして調書判決でも良さそうなものである。

そうしなかったのは、日本の国際裁判管轄があることを判断する必要があった(英語のみのサイトでも日本語の管理画面が使えることなどから日本国内で事業を行う者と認めた)からであろうが、ついでに準拠法も判断しているところも興味深いが、それらは職権調査事項だから当然として、社会的評価の低下だけ擬制自白を認めない扱いとしているのは興味深い。

社会的評価の低下は評価概念で法的評価だからという反論も来そうだが、そんなこと言えば公益性だの公共性だのは自白により否定しているが、これは説明がつかない。

対して開示の正当な理由については、見事に、事実としての損害賠償請求予定は擬制自白により認め、その事実を法的に評価して正当な理由ありと判断している。ここまで丁寧にするのかと思うくらいだ。

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