Book:執行
一つの時間軸では、なんと東京高検検事長が殺害され、その犯人を追うという警察ミステリ。
もう一つの時間軸では、担当時間中に未決囚に自殺されてしまったという刑務官が自らも死を選び、残された同僚にして従兄の刑務官がその親族を思いやりながら、なぜ死を選ばなければならなかったかを考えていく物語である。
刑務官の時間軸にはもう一つ、飯塚事件と同様に不完全なDNA鑑定を証拠として死刑判決が確定し、執行もされてしまった故人の再審請求を、遺族から託されて行っている弁護士の物語もあり、それらがどのように絡み合っていくのかが徐々に明らかになっていくところが興味をそそり、通勤時間に夢中で読んでいると2日で読めてしまった。一箇所、誤植があり、それが登場人物の名前だったので混乱したが、大した問題ではない。
死刑制度の闇に挑んだという帯の文句はあまり真に受ける必要はない。制度の当否はほとんど問題となっていない。
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