Book:鎌倉武士と横浜
今年読んだ4冊目は、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」関連商品である鎌倉武士と横浜 ―市域と周辺の荘園・郷村・寺社 (有隣新書86)
横浜市民としては、鎌倉殿の地元だという意識がなかったのだけど、いや、そんなことは全くなかった。称名寺とか、弘明寺とか、鎌倉殿の御家人・中枢武士たちにゆかりあるところばかりだった。
私の住む金沢区は、特に鎌倉に近いし、金沢北条氏の本拠が金沢文庫近辺にあり、称名寺もそこにある。釜利谷なんてとてもマイナーな地名も、鎌倉時代からの由緒ある場所だ。六浦郷という領域が現在の金沢区とほぼ一致するそうだが、富岡は富田郷という名称と関連するとされている。
神奈川大学のあたりについても、たとえば神大寺というのはそのような名前の寺もなく、神大と略される神奈川大学のすぐ近くだから関係があるかと思いきや読み方がまるで違うし、何なんだろうと思っていたが、この本によればかつての神台地というところに建てられた寺が神大寺で、それが小机村に移って雲松院となり、元の土地は雲松院の寺領となり、村の名前に神大寺村として残ったという伝承が、事実かどうか不明とされながらも書かれている。
さらに興味深かったのが、称名寺の歴史で、かつては念仏寺だったところが、北条実時が真言律宗に改宗させた。その後、立川流という真言宗の一派で邪教とされる流派が称名寺につながった痕跡が多数残されている。
立川流というのは、要するにセックス崇拝の教義を有する宗派で、男性器を表す大根と巾着がシンボルになっていて、男女の結合を具現化した像が聖天(大聖歓喜天)像である。この像の絵が称名寺にも伝わっているとのことであり、また各地にも聖天像はあるが、弘明寺の聖天堂にも伝わっている。
画像は弘明寺のサイト(http://www.gumyoji.jp/precinct/)から引用である。
ということで、横浜市民には楽しめることこの上ない一冊だった。
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