Book:六波羅探題ー京を治めた北条一門
今年読んだ62冊めは、六波羅探題 (歴史文化ライブラリー 535)
承久の乱の後始末として京に設置された鎌倉幕府の地方官庁は、その後の鎌倉時代の変動を通して朝廷との窓口になり、京の治安や西日本を管轄する裁判所昨日を果たし、元寇に際しても重要な役割を果たす。
こうした日本史的知識と、なんとなく裁判所と警察とが合体したような組織というイメージで読み始めたが、北方と南方との両方が置かれ、時代により両立したり片方だったりすることとか、探題となった北条氏の一員がその後執権となったりする存在として、改めて重要性を認識した。
そして、ごく私的な興味関心から一番刺さったのが、六波羅探題の下級官僚ともいうべき奉行人の役割で、裁判における事務手続や審理、そして文書の作成・執筆などを担当していたというから、今日で言うところの裁判所書記官・事務官に相当する。
これが、次第に力を持ち、寺社の強訴などに対する交渉役にもなった。基本的に現地採用で、8家が記録に見られるが、その中の一つである斎藤基茂が1289年に現存最古の「御成敗式目」注釈書を表したというのである。
その名も「御成敗式目唯浄裏書」というもので、法意や関連法令を調べて注釈書にしたという。
その後、本格的な注釈書として「関東御式目」という書物も作成した。彼の法曹官僚としての経験の賜物という。
ちなみに唯浄というのは逐条と音が似ているが、関係はない。斎藤基茂の法名が唯浄というのであった。
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