Book:法の雨
それぞれに関係が内容に見える物語が並行して展開され、最後に集合するのは、普通によくある小説のスタイルだが、この小説では
(1) 東京高裁で逆転無罪判決を乱発する「無罪病判事」が病院でヤクザの組長を殺害したとして起訴された看護師に無罪を言い渡し、納得できない公判検事が調査
(2) 孫の医学部入学に学費を出して貰う約束をしていた祖父が成年後見に付され、成年後見人が学費を出さないと言い出す
この2つが進んでいく。
ネタバレとなるかもしれないが、(2)の成年被後見人が(1)の無罪病判事であった。
それにしても、成年被後見人となったということは、定義上は心神喪失の常況にあるはずなのだが、物忘れが非道い認知症でも検事さんと刑事裁判の基本を論じて説き伏せてしまう判事さんであるから、とても心神喪失とは言い難い。
それに、成年後見人が被後見人の財産形成過程に犯罪の可能性を見出したとしても、その財産から適法に支出することを止めるということはちょっと納得し難い。
という疑問は浮かぶが、物語としては面白い。
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