民事裁判IT化検討の中間試案たたき台・概要
Clubhouseでたたき台をたたくルームを実施する関係上、
中間試案たたき台の見取り図として、目次と、続きに若干の内容をまとめてみた。
【目次】pは中間試案たたき台のページ数
第1 総論p.2
第2 訴えの提起,準備書面の提出p.7
第3 送達p.7
第4 送付p.13
第5 口頭弁論p.14
第6 新たな訴訟手続p.16
第7 争点整理手続等p.20
第8 書証p.26
第9 証人尋問等p.28
第10 その他の証拠方法等p.32
第11 訴訟の終了p.33
第12 訴訟記録の閲覧等及びその制限p.37
第13 土地管轄p.39
第14 上訴,再審,手形・小切手訴訟p.39
第15 簡易裁判所の手続p.39
第16 手数料の電子納付p.40
第17 IT化に伴う書記官事務の見直しp.42
第18 障害者に対する手続上の配慮p.42
【若干の内容付加】【P】はたたき台その2で扱われている。
第1 総論p.2
1 インターネットを用いてする申立てによらなければならない場合
甲案〜原則義務化
乙案〜代理人義務化
丙案〜任意
2 裁判所のシステム障害及び裁判所外の通信障害等に関する規律【P】
3 電子情報処理組織を用いて提出することができる電子データの種類
視覚障害者対策?
4 訴訟記録の電子化
第2 訴えの提起,準備書面の提出
1 インターネットを用いてする訴えの提起及び準備書面の提出
基本的に裁判所のシステムに記録されたときに提出とされる。
2 濫用的な訴えの提起を防止するための方策【P】
第3 送達
1 システム送達
通知アドレスを届け出て、システムに送達書類が記録されたことを通知する。ダウンロードするか、または一定期間経過によりみなし送達となる。
訴状の送達も、通知アドレスの届出があれば可能としている。
通知アドレスの届出をしない者へは紙媒体送達をする。
2 公示送達
ネット公示送達による。
第4 送付
1 当事者の相手方に対する直接の送付
2 裁判所の当事者に対する送付
いずれも通知アドレスに送る。
3 相手方が在廷していない口頭弁論において主張することができる事実の範囲の拡大
システムに登録された準備書面に書かれてあれば可能。
第5 口頭弁論
1 ウェブ会議等を用いて行う口頭弁論の期日における手続
相当と認められれば実施し、双方ともウェブ会議で参加可能。
2 無断での写真の撮影等の禁止【P】
罰則による抑止
3 口頭弁論の公開に関する規律の維持(特段の規定は設けない)
4 準備書面等の提出の促しに関する規律【P】
第6 新たな訴訟手続
甲案〜原告の申述により、6ヶ月以内結審、証拠調べ制限、被告の移行申述と裁判所の通常審理決定あり、控訴禁止、異議可能=少額訴訟型
乙案〜共同申立てにより、審理計画(争点整理5ヶ月以内、人証調べ1ヶ月以内、判決1ヶ月以内)、6ヶ月以内結審、移行申述などによる通常審理決定あり=ミニ計画審理型
丙案〜新たな訴訟手続は設けない
甲案及び乙案のいずれもITツールの特性を十分に活用することを前提としており,そのためには双方当事者が事件管理システムを通じた準備書面や書証の送付,記録の閲覧をすることができることが必要となる。そこで,双方当事者が事件管理システムの利用の登録していることを必要的としている
第7 争点整理手続等
1 弁論準備手続
双方電話会議等の利用を可とする
2 書面による準備手続(規定の整備)
3 準備的口頭弁論(現行規定維持)
4 争点整理手続の在り方
甲案〜一本化し、三種類の手続に特有の要素を選択可能とする
乙案〜現行通り
5 進行協議
双方電話会議等の利用を可とする
6 審尋
7 専門委員制度
いずれもリモート参加可能
第8 書証
1 電磁的記録を目的とする書証に準じた証拠調べの規律
2 電磁的記録の提出又は送付に関する規律
3 インターネットを用いてする書証の写しの提出及び送付
第9 証人尋問等
1 証人尋問等
要件を拡大し、所在場所を緩める。当事者の立会いやハイブリッド型を認める
2 通訳人
電話会議によることも可能とする
3 参考人等の審尋
リモート参加可能
第10 その他の証拠方法等
1 鑑定
鑑定意見の電子送付やリモートでの審理立ち会いを可能とする。
2 検証
3 裁判所外における証拠調べ
いずれもリモート実施可能
第11 訴訟の終了
1 判決
電子判決書とそのシステム送達
2 和解
受諾和解の改正、新たな和解に代わる決定の創設【P】
第12 訴訟記録の閲覧等及びその制限
1 訴訟記録の閲覧等【P】
2 閲覧等の制限の決定に伴う当事者の公法上の義務
第13 土地管轄(現行法の規律を維持)
第14 上訴,再審,手形・小切手訴訟(IT化へ)
第15 簡易裁判所の手続(IT化へ、引き続き検討)
第16 手数料の電子納付
1 オンライン申立てがされた場合の手数料等の電子納付への一本化
2 郵便費用の手数料への一本化
3 書面による申立てが許容される場合における手数料等の納付方法(電子納付)
4 民事裁判手続のIT化に伴う訴訟費用の範囲の整理等
期日出頭費用、書類作成提出費用、過納手数料還付事務を書記官の権限とするなど
第17 IT化に伴う書記官事務の見直し(権限拡大)
第18 障害者に対する手続上の配慮(引き続き検討)
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