Book:百年戦争
今年読んだ4冊目は、百年戦争 中世ヨーロッパ最後の戦い (中公新書)
昔読んだ佐藤賢一さんのヴァロワ朝 フランス王朝史2 (講談社現代新書)と同時代だが、全く記憶が飛んでいる。百年戦争と言えばジャンヌ・ダルクで、先般のフランス長期出張でもジャンヌ・ダルクゆかりのポワチエ、ルーアン、シノンなどで痕跡をたどってきたところだが、イングランドとフランスとの関係自体について改めて学んだところである。
イングランドとフランスとの対立点は、この本によれば、イングランドの大陸領土をフランス王から封じられているという建前からイングランド王がフランス王に臣従礼を取らなくてはならず、それを拒みたい=大陸領土のフランスからの独立が焦点となっており、これにブルゴーニュ公国やらアキテーヌやらブルターニュやらのフランス大貴族とヴァロワ朝の王との権力争いという構図で100年以上も戦争状態が続いたというのである。
それに100年以上戦争をずっとしていたわけではなく、途中40年にも及ぶ停戦期間があったりして、現在もなお韓国と北朝鮮が戦争状態にあるというのと同じ意味で、両国が戦争状態にあったわけだ。
そしてジャンヌ・ダルクがラジカルだったのは大陸からイングランド勢力を追い出すことを目指したからであり、当時の主流の考え方はフランス王家の元に従わせるということであってイングランド王の領地を全て取り上げるということではなかったという。
さらに、高等法院Parlementがパリ以外に設立されたのも、この時期であり、トゥールーズとか、ボルドーとかに設立をほのめかされてその土地の勢力を味方につけていく材料となるというところも興味深い。
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