Book:ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
今年読んだ22冊目は、ブレイディみかこさんのぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
イギリスのブライトンに住む著者が、11歳の息子との日常を題材にイギリス社会の今を斬っているドキュメンタリーである。
彼女の言い方を借りるなら、地べた社会学的ルポとでもいおうか。
この本の中にもでてくるが、「ローカルな人のネットワークはやっぱり子どもの存在を通して繋がる」ということで、自身の子どもの学校生活を通じた社会のあり方は、ミクロで個別的でありながらとても普遍的な話となっている。
また、この本の時代背景が移民クライシスの後のブレグジットと環境デモの入りかけということで、ちょっと前の激動期のイギリスが舞台で、国家と社会、そして共同体があのように右往左往していたときにイギリス市民、それもロンドン以外の都市住民はどう暮らしていたかという断片にもなっていて、そういう観点からも極めて興味深い。
子どもの世界の話とオーバーラップして、メイ首相が「どれだけ叩かれても辞めない人って凄い」という形で登場するのである(順序は逆で、メイ首相のことから子どもの世界に入るのだが)。
ということで、眠れぬ夜のお供として、二晩に分けて読んでしまった。さすがは本屋大賞候補。
追記:くまちん先生のご指摘により、本屋大賞候補ではなくノンフィクション大賞受賞作品であることを知りました。謝して訂正いたします。
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