#ブックカバーチャレンジ 03-アシモフ自伝
3日目は、これでしょ、という感じのアイザック・アシモフ。
ただし、アシモフの作品は数多いので、これという一冊を表示することができず、仕方なく自伝をブックカバーとして選んだ。
アイザック・アシモフといえば、壮大な宇宙ロマンである銀河帝国シリーズとか、今、第三次AIブームで年寄りが頻繁に引用するロボット工学三原則とかが有名である。
しかし、そのいずれも、オリジナルの作品はとても断片的というか、大きな物語の一部が独立して作品となった感のあるものであった。
例えば、銀河帝国の始まりの物語は、セルダンの構想に基づき辺境に設置されたテルミナスがファインデーションとして独立する話だし、そのファウンデーションが西ローマ帝国滅亡後のゲルマン部族国家に立ち向かうローマ教会のごとく、宗教色をまとった科学で、辺境の退化した諸王国を従えていく話だし、やがてそれが貿易商人による覇権獲得で大航海時代と重商主義をミックスしたような発展を見せ、ビザンチン帝国のような旧銀河帝国との対決に至る、西欧史をモチーフにした流れを構成しているが、それを構成する一つ一つの物語は連作のようなつながりはあっても独立している。
その後のミュールの物語や第二ファウンデーションの物語のところまで最初に書き始めたときに構想されていたのかどうかは甚だ疑問ではある。
そしてもう一つのシリーズは私はロボットに始まるロボットものであるが、スーザン・キャルバンがキーパーソンとなっていて、ロボットの出来具合としては人間臭いところがありながら、まだプロトタイプ的な話になっている。
ロボット工学三原則と世の中に起きる矛盾、子育ての場面における自律性尊重とパターナリズムの必要の矛盾などがテーマになっている。
ここも、スーザン・キャルバンなどの共通人物が見え隠れしながら、ストーリーそのものは独立性のある短編で構成されている。
このシリーズと鋼鉄都市に始まるイライジャ・ベイリとR・ダニール・オリバーとの物語が発展形としてあり、これまたTVシリーズのような感じで、はだかの太陽と夜明けのロボットが続いている。
ここですでに、汚染されて鋼鉄に覆われて地下生活を余儀なくされた地球、地球から宇宙に出た外惑星の植民都市がロボット化した異常さなどが強調されている。
ロボットものではあるが、スーザン・キャルバンの活躍する物語とはテイストが異なる。
そして第二ファウンデーションからさらに地球探しに出たファウンデーションの話が、銀河帝国の中心トランターから地球、オーロラなどを経て、R・ダニール・オリバーにたどり着き、ロボットものが帝国ものと融合を果たす。
こうしてみると、長大な一つの物語に見えるが、実のところ場当たり的な短編が最終的に組み合わされて統合されたわけである。
当然ながら、この融合に入らない宇宙ものもアシモフは書いているので、それは忘れ去られた存在となってしまった。
私の好きなアシモフ作品には、もう一つ、このシリーズに入り込めなかった黒後家蜘蛛の会1【新版】 (創元推理文庫)のシリーズがある。
この作品のヘンリーとかルービンとかを、ロボットと帝国ものに組み込んでくれたら、さぞ素晴らしいことだろうと、天国のアシモフにお願いしたいところだ。
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