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2020/04/02

Book:法教育の理論と実践

今年読んだ20冊目は、法教育の理論と実践: 自由で公正な社会の担い手のために

 

法律監修の村松謙先生は、神奈川大学の法教育を題材とする教員免許更新講習でもご活躍だが、その彼から送っていただいた。

ざっと読んだところだが、法教育の概念については単なる法的知識の詰め込みではなく、知識教育に加えてスキルと公正さや民主的過程への理解と意思を促進させることという3側面があるというところが全体を貫いている。

この3つの側面は、理解、技能、信念という書かれ方もしているし、①法や司法制度、さらにはそれらの基礎となる価値に関する教育、②法制度の機能や価値を思考し法的な考え方を身につける教育、③それらから社会参加を意識付ける教育などというまとめ方もされている。

Liser1_20200402074601 繰り返し出てくるこの3つを自分なりに咀嚼できれば、法教育の基礎的な部分の理解に達したということになるであろう。

これを踏まえて、憲法や主権者教育、私法や消費者教育、そして司法の役割など具体的な教育方法の後半部分を読むと興味深い。

司法に関しては、民事司法も一応は触れられているが、やはり刑事司法が中心となってしまって、まあそれはそれでやむを得ないことかもしれないが、私からすれば残念ではある。

そして、このレベルの法教育を高校まででしっかりと行われていると、はてさて大学の法学教育の役割はなんだろうかという疑問に到達する。法教育に関する優れた議論に接するたびに思うことだが、法曹となるべき人を養成する過程はロースクールに移り、また学問としての法学は研究大学院の役割だとすると、法学部の役割はなんだろうか? ここで述べられている法教育を深化させるという位置づけであろうか?

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