Book:もしも世界に法律がなかったら
今年読んだ3冊目は、昨年来の宿題だったもしも世界に法律がなかったら 「六法」の超基本がわかる物語
もしも法律がなかったら、ということで、憲法のない世界、民法のない世界、刑法のない世界、刑事訴訟法のない世界、民事訴訟法のない世界、そして商法のない世界を描いて、それぞれの重要性を際立たせようという企画である。
その昔、伊藤眞先生が書かれた『破産』という本でも、破産法のない世界を旅するシーンが出てきた。我先に債権回収に走ったり、偏頗な弁済をしたり、公平が蔑ろにされる姿から、破産法の公平の理念が際立たされたものだ。
その点、木山先生の本では、憲法のない世界というのは成功しているように思うが、民法のない世界として中学生が結婚したり不動産買主が後から出てきた買主に力で奪われ、借金を踏み倒す大富豪に助けられるというのは微妙な感じがする。刑法に関しては、刑法がないのではなく罪刑法定主義がない場合の方が正しいように思う。
刑事訴訟法や民事訴訟法がない世界というのも、そもそも裁判官が好き勝手やれるのは従うべき訴訟原則がないからということであろうが、そもそも裁判が係属するのはこれらの訴訟法を前提にしているのではあるまいか。
ということで、違和感が残る本であった。
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