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2020/01/11

MSのTeamsを使う司法のIT化

民事裁判の手続きにウェブ会議導入へ デモ公開

 

明るいニュースのようだが、MSは以下のような告知をして胸を張っている。

裁判所の民事訴訟手続きの IT 化において、Microsoft Teams を採用

かねてから、Teamsを使ってグループウエアによる争点整理をやるということは言われていたが、それがそのまま本採用的な雰囲気になっていることに不安を感じる。

最高裁判所 (以下 最高裁) が推進する、民事訴訟手続きの IT 化において、当社のクラウドサービス「Office 365」におけるコラボレーションツール「Microsoft Teams (マイクロソフト チームズ、以下 Teams)」が採用されたことを発表します。2020 年 2 月から 9 か所、2020 年 5 月頃から 5 か所の裁判所で取り扱われる民事訴訟事件の争点整理注から Teams が活用されることになります。民事訴訟事件の争点整理において、Teams が活用されるのは世界初です。

そりゃ、世界初のことであろう。

Temis1_20200111135101

1民間企業の、それも外国企業のグループウエアを用いて、司法権の運用が行われるのであるから。

ちなみに、裁判所だってワードとか既に使っているではないか、それが標準になるのだから別におかしくはないと言う声が聞こえてきそうだが、裁判所の内部の調達で一企業の製品を採用するのと、裁判手続を利用するすべての者が外国の1民間企業の製品を使わざるを得なくなるのとでは雲泥の差がある。

で、日本の裁判所は、今後、永久に(マイクロソフトがこのシステムを続ける限り)、マイクロソフトに乗っかって日本の裁判システムを運用し続けるつもりなんだろうか? 

マイクロソフトがこのサービスを永遠に続けるということはないであろうし、全く障害が起こらないことを保証してもらえるものでもない。ま、その点は、最高裁が独自にシステムを組むよりよほどマシということになるかもしれないが、ともあれ責任を持つ主体がどこかということが重要だ。

大体、裁判の記録に関して情報漏えいとか心配していたはずだが、裁判は公開だから漏洩してもいいと割り切ったんだろうか? その点もまた、マイクロソフト頼みということで、現実にはその方がセキュアかもしれないが、理念としては裁判所が責任を持ちうる体制をと唱えるべき筋合いだ。

確かに、争点整理を当座オンラインツールを使って便利にやろうということであれば、既存のツールで安くそれなりに安定的に使えるサービスを利用するのが早道だ。最初Teamsを使うと聞いたときは、とりあえずオンラインツールでやってみてどんなものか体験する、お試しなのだと思っていた。

今でもこれはお試しであって、いずれは専用ツールを専用クラウドによって運用する本格バージョンが導入されるものと信じたい。もちろんそのシステムの納入をマイクロソフトが行うことはありえても、外国の一企業に完全に依存した状態ではない条件でなければならない。

しかし、どうもそうではなさそうなんだよなぁ。

ちなみにフェーズ3となっているe事件管理のシステムと争点整理に関するグループウェアとが別々のシステムで動くのだと、手入力の機会が多くなってしまうが、それでもいいんだろうか?

そもそも、漏れ聞く話では、e-filingとe-case managementとを別々のものとして作るようなので、それでは高度化に全くならないだろうなと。

大体、関わってこられた関係者は疲れ果てていて、具体的なシステムの設計になると予算も限られていて「もういいや」と「小さく生んで大きく育てる」といういつもの諦めのフレーズが充満してくるのではないか。

なお、最高裁の告知ページによれば、順次拡大するとのこと。

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