民事裁判でBlackboxに光が差し込む
2017年のこのブログBook:ブラックボックスで紹介したBlackboxの著者、伊藤詩織さんが、元TBSのジャーナリストを性的暴行による不法行為責任を追及していた訴訟で、伊藤さんが勝訴した。
この訴訟は山口敬之氏が、レイプされたと記者会見した伊藤さんを被告として、名誉毀損による損害賠償を請求し、伊藤さんの訴えと交差する形になっていた。
今日の裁判は、報道によれば、はっきりと伊藤さんの言い分を認め、山口氏の主張を信用できないと切り捨てている。
18日の判決で東京地方裁判所の鈴木昭洋裁判長は「伊藤さんは、友人や警察に被害を相談していて、性行為が意思に反して行われたことを裏付けるものといえる。一方、山口氏の供述は、当時送信したメールと内容が矛盾し、核心部分について不合理に変遷していて信用性には重大な疑いがある」と指摘して、合意が無かったと判断し、山口氏に慰謝料など330万円の賠償を命じました。
また、山口氏の訴えについては「伊藤さんが性犯罪の被害者をめぐる状況を改善しようと被害を公表した行為には、公共性や公益目的があり、内容は真実だと認められる」として退けました。
かくして、山口氏の名誉毀損との請求は棄却され、伊藤さんの不法行為訴訟は請求認容となった。でも認容額は、なんか魂の殺人と言われる行為にしては桁違いな安さのように思う。
現段階では一審判決が出たばかりであり、控訴されるかどうかも分からない。しかし、上記のような裁判所の判断が公になったことで、改めて、警察・検察がなぜ動こうとしなかったのか、大いに疑問が残る。
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