民事裁判等IT化研究会報告書の第一印象
民事裁判等IT化研究会の報告書が公表された。
ざっと見ただけの印象では、急な義務化とかいわず、穏当なところの印象。また、訴状送達のシステム化も、とりあえず試してみて、反応がなければ通常の送達をするとか、公示送達はシステム化するとか、まあ妥当。
報告書は、民事裁判等IT化研究会ページの最下段にリンクされている。
しかしIT化にまぎれて労働審判類似の短縮手続(特別な訴訟手続といっている)を導入することまで盛り込んでいて、それ自体の是非はともかく、異分子を抱き合わせたことの弊害が生じないか心配はある。
というか、争点整理のあたりの検討ではIT化をきっかけに三種類の手続の融合の可否まで論じられていて、民事訴訟手続の抜本的な見直しに力が入ったように見える。
和解に代わる決定を地裁に導入するのも同様。通常抗告と即時抗告の一本化に至っては、IT化には無関係。
もちろん、手数料や予納郵券といった瞠目するような前時代的な存在がこの機会に駆逐されそうなのは結構なこと。
他方、e事件管理の部分については極端に検討が薄く、これで果たして審理の合理化ができるのか疑問ではある。オンライン申立ても、単に紙を電子ファイルにして送る(アップロードする)ことが想定されているようで、XMLには一言も触れず、せいぜい民間クラウドサービスを利用するという程度。
総じて、IT化が書記官の手間を大幅に削減することに繋がるかどうかは疑問である。
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