Book:昨日がなければ明日もない
今年読んだ34冊目は、宮部みゆきの「昨日がなければ明日もない」
読後感は、あまり良くない。妻に不倫され、離婚されて、かつかつの生活を送る杉村氏の境遇が、彼の扱う事件にも投影しているような、哀しい話である。
ネタバレになってしまうかも知れないが、最初のお話は、宮部みゆきの魅力でページをめくる手を止められない中、徐々に姿を現す暗い成り行きからどうしても逃れられない、そんな心象を強烈に植え付けて、読んだ後は寝付かれなかった。
第二話は同じ会場の別の部屋で行われることになっていた結婚式が、どちらもドタキャンという、読んでいても混乱するような話であったが、結局のあの当事者たちには救いはあるのであろうか?
第三話こそは救われない話である。「集る」という漢字を今回始めて知ったような気がする。ストーリーそれ自体は、杉村さんならずとも気がつくかも知れないが、それにしても、そんなに突き落とさなくてもよいではないか。
ということで、宮部みゆきワールドは全開だが、ダークサイドに落ちている感じがする。
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