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2018/12/20

article:発信者情報開示請求

メディア判例百選 第2版 (別冊ジュリスト241号)に、「プロバイダ責任制限法の『特定電気通信役務提供者』とその責任」と題して、以下の2つの最高裁判決の解説を書いた。

最判平成22年4月8日民集64巻3号676頁
最判平成22年4月13日民集64巻3号758頁

前者は、いわゆる経由プロバイダ(アクセスプロバイダ)に対しても発信者情報開示請求券が行使できるとした判決で、下級審の定着した姿勢を追認したものである。
後者は、発信者情報開示をしなかったことについての損害賠償が、重過失無しとして認められなかった事例であり、立法論はともかく解釈論としては妥当なところである。

立法論的には、発信者情報の開示をもっと緩やかに認めていくべきだと思うし、匿名の者に対する訴訟の中でプロバイダに発信者情報の開示を調査嘱託として求めていくことも検討に値すると思う。
現在のように、二段階の訴訟をしなければならず、その前にさらに仮処分申請をしなければならないというのは、被害者にとって負担が重すぎる。そして、そもそも通信の秘密保護という公的な規制を外すための裁判手続であれば、通常の訴訟ではなく非訟手続によることが筋であるのだが、現行法はその点で極めて異例な構造になっている。
それでも、解釈論としては限界があるのであり、アクセスプロバイダのような機能に拡張して解釈することはできても、不開示の責任を重過失ではなく軽過失でも認めるというのは無理筋である。

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