« article:ドイツ当事者公開原則の基礎法理 | トップページ | 法のデザインからの連想でFashion law »

2018/11/09

article:法人格なき社団財団の当事者能力

大阪市立大学法学雑誌64巻1・2号1頁以下に掲載された岡成玄太准教授の論文「法人でない社団・財団の当事者能力」である。

内容は、法人格なき社団財団に当事者能力を認める民訴法29条の解釈論として、構成員など財産帰属者の固有財産から分離された社団財産・財団財産を形成している団体については、その代表者・管理者に訴訟追行の授権が財産帰属者からある場合には、民訴法29条の適用を認めて良いとする。

これに対して財産帰属者の固有財産と社団財産・財団財産が分離されていない場合は、民訴法29条の適用のためには代表者・管理者の存在と財産帰属者からの授権に加えて、紛争への団体のコミットメントのような、代理や訴訟担当とは異なる役割が必要とされるような要件を必要とするとするのである。

なかなかチャレンジングな立論に踏み込もうとされているが、論文のトーンとしては、社団の財産的な独立性が認められる場合に限って民訴法29条の適用を認めるという結論を取りそうなものである。それを避けたのは、最高裁判決の存在なのであろうか。
著者の立論で、財産的独立性がない社団にも当事者能力を認めるべき要件は詰められていない、今後の課題として残されているようであるが、例えばゴルフ場のクラブに当事者能力を認めた事案では、クラブとしてのコミットメントがあったという評価になるのであろうか。

それと、法人格なき社団財団に当事者能力を認める前提として財産帰属者から代表者への授権を必要とするのであれば、それは訴訟担当と役割が異なる場面がどれほどあるのであるのか、やや疑問である。

|

« article:ドイツ当事者公開原則の基礎法理 | トップページ | 法のデザインからの連想でFashion law »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: article:法人格なき社団財団の当事者能力:

« article:ドイツ当事者公開原則の基礎法理 | トップページ | 法のデザインからの連想でFashion law »