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2018/10/10

article:Twitterに投稿された画像の同一性保持権侵害等が認められた事例

著者の谷川和幸先生(福岡大学)よりご恵贈いただいた論文で、知財高裁がリツイート行為について同一性保持権侵害を認めたという事例に関する批判的検討である。

今年の東京弁護士会で行ったサイバー判例回顧でも取り上げたこの事件、こんな事案である。

【32】知財高判平成30年4月25日裁判所WEB、WLJ(平成28(ネ)10101号)  事案は、原告(控訴人)の著作物である写真が何者かによりツイッターのプロフィール画像として用いられ、またツイートにも掲載されたこと、画像つきツイートにも使用されたこと、そのツイートがさらに何者かによりリツイートされたことで、著作権および著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権など)を侵害されたと主張し、発信者情報開示を米国ツイッター社およびツイッター・ジャパンに求めたものである。争点は、(1)ツイッタージャパンへの請求の可否、(2)ツイート行為が著作権・著作者人格権を害するか、(3)リツイート行為が著作権・著作者人格権を害するか、そして判決確定日における最新のログイン時IPアドレスおよびタイムスタンプの開示を求められるか、である。

 知財高裁は(1)のツイッタージャパンの開示権限を実質的にも認められないとし、(2)ツイート行為と(3)リツイート行為については、それ自体で公衆送信権・複製権・公衆伝達権侵害をしたとも幇助したともいえないとしたが、同一性保持権侵害については、「リツイート行為の結果として送信された HTMLプログラムやCSSプログラム等により、位置や大きさなどが指定されたために・・・画像が異なっている」とし、この改変の主体をリツイート者であるから同一性保持権を侵害したと認めた。同様に氏名表示権も、リツイートの結果画像が改変されたため氏名が表示されなくなったとして、リツイート者による侵害を認めた。(4)の最新のログイン時のIPアドレスについては、省令およびその前提となるプロ責法が認める開示対象ではないとし、裁判を受ける権利等の主張については立法論にとどまるとした。

いま気がついたが、当日配布した資料では事件番号の記載が間違っていた。なぜか年月日索引の方はあっているが。

それで、著者谷川先生によれば、本判決では当事者の争い方にもよるので、必ずしも結論を左右する重要なポイントが落ちているのではないか、ということである。

この点は、当事者主義を基本とする民事訴訟の限界であろうし、下級審裁判例のまさに「裁判例」たる所以でもある。

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