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2018/09/28

lawyer:またまた夫婦別姓の選択を求める動き

旧姓での役員登記求め審査請求 京都の女性弁護士、全国初

弁護士法人の役員になるとき、旧姓での資格証明書の発行を日弁連に求めたが、戸籍名での証明書しか公布されなかった。
そこで、戸籍名での資格証明書を提出して、旧姓での役員登記を法務局に申請したところ、旧姓の申請者名と資格証明書の姓が異なるとの理由で、申請が却下された。
現在、審査請求中。


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記事中には、法務省民事局のコメントが記されている。

法務省民事局商事課は「商業登記は原則、戸籍名でしか行えない。旧姓を希望する場合は、併記制度を利用してもらうしかない」としている。

ではここで、最高裁大法廷判決の法廷意見の一節を見てみよう。

夫婦同氏制は,婚姻前の氏を通称として使用することまで許さないというものではなく,近時,婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっているところ,上記の不利益は,このような氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るものである。

最高裁大法廷判決の法廷意見に賛同した裁判官たちが立脚した前提事実は、「婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっている」ということと、それによって「アイデンティティの喪失感を抱いたり,婚姻前の氏を使用する中で形成してきた個人の社会的な信用,評価,名誉感情等を維持することが困難になったりするなどの不利益」が「一定程度は緩和され得る」という点にある。

この京都の弁護士さんの事例は、ものの見事に、「婚姻前の氏を使用する中で形成してきた個人の社会的な信用,評価を維持することが困難になるという不利益を一定程度は緩和するはずの通称使用」が社会的に広まっていないことを示している。

しかも職業活動に直結する商業登記の記載に関して、旧姓の使用を認めないというのであるから、「婚姻前の氏を使用する中で形成してきた個人の社会的な信用,評価を維持することが困難になるという不利益」に直結する制限である。

他方、やはり最高裁大法廷の法廷意見が夫婦同氏制に合理性があるとしている根拠を見てみると、「家族という一つの集団を構成する一員であることを,対外的に公示し,識別する機能」とか、「嫡出子であることを示すために子が両親双方と同氏である仕組みを確保すること」が挙げられている。その他、結婚して家族になったことを実感するとか、子供が両親と同じ姓を名乗ることによる利益を享受しやすいとか、情緒的なことが挙げられている。
つまり、夫婦が同氏であることにより利益があるというのは、もっぱら家族単位での生活を対外的に公示する局面に限られており、家族のそれぞれが個人として遂行する社会生活・職業生活においては、同氏を強制される利益は、最高裁大法廷の法廷意見を丸呑みしたとしても、一つもないのである。

そうすると、不動産登記はともかくとして、商業登記については、結婚しているからといって夫婦同氏制を前提とする戸籍名の使用を強制される合理性は全く無いということなる。

上記の記事に出てくる弁護士さんのケースでは、旧姓使用を認めない理由はない。

なお、以上のことは、法律婚をしつつもそれぞれの姓を変更しないという選択を立法において否定することを正当化するものではない。回りくどい言い方になったが、夫婦別姓を選択できる婚姻制度に早く変えてもらいたいものである。

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