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2018/06/14

news:仮想通貨の差押えは困難

仮想通貨、強制執行に壁 裁判所が差し押さえ命令出したのに…
交換会社「技術的に困難」 資産隠しなど温床の恐れ

日経の記事によれば、仮想通貨の購入を持ちかけられて相場の50倍で購入せられた消費者が、販売した「業者」との和解で返金債権1300万円を有していたところ、返済が滞ったため、その「業者」の代表者名義のリップルを差し押さえるべく、「業者」の利用している仮想通貨交換会社を第三債務者として、ウォレット内のリップルの差押命令を申し立てて、さいたま地裁が2017年7月と18年4月、2回にわたり命令を出したという。
ところが・・・

交換会社は「ウォレットは当社で管理していない。技術上、二重払いの危険があり、返還できない」と主張。交換会社側ではウォレットの凍結はできず、交換会社が被害金を代わりに支払った場合、業者側から回収できずに損失を被る恐れがあることなどを理由に対応を見送ったという。

ここまでも十分に問題があるところだが、さらに、次のような追い打ちが掛けられた。

同社は18年3月に福岡財務支局から業務改善命令を受け、その後、改正資金決済法に基づく仮想通貨交換業の登録申請を取り下げる方針を明らかにした。

例のみなし登録状態で十分な管理体制がないため退場(申請取り下げ)させられた業者だったようだ。

事実関係も曖昧だし、リップルそれ自体が、そもそも保有資産として扱うべきものなのかどうかも疑問があるが、それはともかくとして、一応、債務者である「業者」がウォレットの操作により交換会社を通じて日本円の送金を受けることができるという関係で「業者」に帰属するリップルがあるという状況かと推測される。
その場合は、「業者」が行う操作により得られる日本円の送金請求権を条件付き債権として差し押さえて、その取立権の行使として債権者がウォレットを操作するということになろうか。その操作にあたって債務者「業者」の協力が必要となりうるところが、実務上は困難かもしれず、またそのようにして差し押さえたことで債権の処分禁止効が発生するのかどうかも、やや疑問は禁じ得ないところがある。


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