EMAの終焉
青少年のケータイによるインターネット利用については、フィルタリングを中心とする違法有害情報へのアクセス制限とホワイトリストによるアクセス制限解除が行われてきた。そのホワイトリスト作りに中心的な役割を果たしてきたのがモバイル・コンテンツ審査・運用監視機構(略称EMA)であった。
そのEMAが、活動を終了するとの知らせを受けた。理事会で決定し、次の総会で解散決議を得て、清算法人となるというのである。
そもそもフィルタリングによる青少年保護というスキームには、かなりの無理があったが、それでもなんとかホワイトリスト方式で運営してきた。しかし、ガラケーからスマートフォンになってフィルタリングの方式も様変わりし、そもそも青少年がこぞって利用するサイトがフィルタリングの対象となってしまう場合に、そのサイトがホワイトリストに乗せてくれという以前に青少年が自らの端末にフィルタリングを掛けないようになって、フィルタリング設置率が低下する一方であった。それにiPhoneにはいわゆるフィルタリングは始めからなく、ペアレンタルコントロール方式によるのでEMAのスキームとは別の青少年保護の仕組みであった。
そういうわけで、技術の変転により、EMAが対応しきれなくなってきたというのがEMAの活動終了の原因である。
ただし、モバイルかどうかに拘わらず、また通信回線かWIFIかに拘わらず、青少年のインターネット利用について一定の保護が必要であることは幅広いコンセンサスがあるものと思われる。
暴力や性の表現に子供を触れさせないことが良いかどうかには異論のある向きもあるだろうが、出会い系や出会い系もどきのコミュニティサイトで、子どもが悪の道に誘い込まれる可能性は排除しておきたいところである。その点ではEMAのスキームも一定の役割を果たしてきたと言ってよい。
EMAが無くなることで、フィルタリング自体も変容することになるのだと思うが、全く無くなって良いということではなかろう。すでに次の体制作りは動き出しているのであろうと推測するが、EMAの方式の限界を踏まえた新しいあり方がうまくいくことを願いたい。
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