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2018/04/16

book:和解は未来を創る

草野芳郎先生が古稀記念論文集として献呈されたのが和解は未来を創る ― 草野芳郎先生古稀記念

古稀祝賀の会に参加して、色々なお話を伺った。

私にとっての草野さんは、多くの民訴学者と同様だと思うが、熊本大学で民訴学会が開催された時のイメージが固定している。
そのとき、研究大会は1日でまとめ、その前日に阿蘇山へエクスカーションに出てそのまま阿蘇のホテルに宿泊し、懇親会をした後、翌朝熊本大学にバスで移動するというスケジュールであり、報告者だろうがなんだろうが懇親会からは逃げようがないという仕組みだったのだが、その中で翌日個別報告であった草野さんは、多くの若手やベテランに囲まれて夜通し酒を飲みながら議論を重ね、報告当日はすっかりお酒が残っていた状態で議論の続きを壇上でやったというイメージである。

そんな感じで豪放磊落というイメージを持っていたところ、訴訟上の和解からADR全般にかけての第一人者となっていったのは周知のことだ。
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今日もスピーチの中で言及されていたが、草野さん以前は「和解判事となるなかれ」というのが定番の戒め言葉であったし、今だって和解による解決と判決による解決との間には微妙な一長一短があって、和解なら何でも良いというわけでも勿論ない。しかし、民事訴訟の解決方式として約25%は和解により終結しており、そのことは無視し難い。その上で、和解の長所を正当に評価し、和解という解決から波及する様々な影響(公開性とか履行促進とか)を踏まえた制度論を展開する必要があるし、また和解の運用にもそのような和解自体の理論を踏まえる必要がある。
ということで、和解の伝道者と言われる草野さんとそれに続く諸氏の果たした役割は大きく、それがこの本にも結実しているということができる。

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