Book:家族と倒産の未来を拓く
木内道祥先生(元最高裁判事)の古稀と退官の記念論文集である。
木内先生には、司法制度改革の何かの会合で、また日弁連法務研究財団の会合でご一緒したことがあり、一方的に親近感を寄せている先生だが、倒産法のまばゆさに目を奪われ、家族法の領域にも多くの業績を残されたことを知らなかった。
発刊の辞の中で、最高裁判事として関与された両分野の裁判例が列挙されているが、あの同日大法廷二判決で一つは違憲判断、一つは合憲判断が出された再婚禁止期間と夫婦同氏強制について、いずれも違憲判断の立場で意見を書かれていることが改めて思い起こさせられる。
さて、その論文集の目次にも極めて興味深い論文が並んでいる。
巻頭を飾るのは二宮周平先生で「最高裁裁判官の家族観」である。もっとも、裁判官の個人的な価値観をみるというよりは、最高裁判所裁判官という抽象的な存在の家族観を論じているようであり、やや表題から受ける印象とは異なっている。
そのほか、家族では子供の処遇の問題が数多く取り上げられており、倒産法の分野も含めて貴重な論文集となっている。
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