Book:ある比較法学者の歩いた道〜 #五十嵐清 先生に聞く
今年読んだ7冊目は、山田卓生先生他の編集による五十嵐清先生のオーラル・ヒストリー、ある比較法学者の歩いた道 ―五十嵐清先生に聞くである。
先生から直接ご恵贈いただいたときにも一読した覚えがあるが、今回、引越し作業の中で再発見して読むことが出来た。
筆頭編集者に挙げられている山田卓生先生は、この本が完成する前に物故され、五十嵐先生ご自身がそのことを嘆かれている序文から始まる。
五十嵐清先生は、世間的には人格権論で著名で、ネット関係者にも知る人ぞ知る、プライバシー論や名誉毀損論について調べると必ず名前が出てくる方だし、私自身、五十嵐先生から研究会のご発表などで「最高裁がプライバシーという言葉を初めて使った」等々の情報を教えていただきながら育ったので、私のプライバシー理解は相当に五十嵐先生の影響を受けていることだろう。
のみならず、五十嵐先生の独特の語り口、口調、冗句、こうした思い出を、本書は極めてビビッドに蘇らせてくれる。まるで五十嵐先生の話を横で聞いているみたいな感じになる。
先生が亡くなられてから、しばらくたつが、本書は先生の生き様とともに様々な思い、そして先生ご自身に関する後進の思い出等が詰まっているものとして大変貴重な存在であった。
なお、五十嵐先生の名著で法律の初学者向けに一押しなのが法学入門 第4版 新装版(日本評論社・2015)である。
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