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2018/04/13

Bio-ethics:両親の死後に凍結受精卵から誕生

両親の死から4年後に赤ちゃん誕生 中国

中国のニュースをBBCが伝えている。

記事には「法的な地雷原」と表現されているが、本当に地雷原のように法的問題にあちこちでぶつかっている。

事の発端は、カップルが凍結受精卵を残したまま事故で死亡したことである。
そももそ、凍結受精卵は誰の支配に服するのか?
 カップルのどちらかが生きている場合は、その支配下にあると言って良さそうだが、その支配力は法的な権利なのか、所有権なのか、一身専属ではないのか? また実際に管理している医療機関等は、その凍結受精卵についてどのような権利義務を有するのか?
 通常の寄託動産と同様に考えてよいのかどうかである。
Mamabebe

それがはっきりしないところでカップルが二人共死んでしまった場合に、凍結受精卵に支配を及ぼすのは誰なのか?
 ニュースの事例では、カップルの両親4人が共同で支配を主張したようだが、その間に紛争が生じたらどうなるのか? 仮にデッドロックに陥るとすると、それを解消する仕掛けは何かあるか?
 またそもそも、カップルの両親に何らかの支配の権原は生じるのか? 動産同様に相続するのか? 仮に支配権原があるとして、それは処分権限も含むのだろうか? この事例では出産させることを選択しているが、その事自体の可否も問題だが、出産させずに廃棄する決定もできるのだろうか? カップルの生前の意思が仮にいつか出産するというものだとすると、それに反する決定を両親ができる法的根拠は何か?
 仮にそのような人たちが出てこなかった場合に、凍結受精卵を現実に管理している医療機関は、いかなる根拠で、何ができるか?

 代理出産関係では、代理出産が禁止されている国の主権下にあって、外国人に代理出産をさせること、そして厄介なことに代理出産が禁止されている国で現に出産がなされたことによる法的な帰結、跛行的な法律関係の発生の余地などが生じている。

 加えて、両親とも死亡した後に生まれた子供と血縁関係が立証できる者と法的に親族関係を発生させられるのかと言った問題もある。日本法の下では、祖父母と孫の関係を法的に確認するということは通常なくて、親子関係確認を、いずれかの当事者の死後も、その利益がある限り認めるというのが判例であるから、このケースも死んだ両親と生まれてきた子供との親子関係確認を人事訴訟で行うことができそうだ。
 しかし、代理出産の場合は代理母が本当の母というのも日本法の立場なので、父子関係の確認は法的に可能でも母子関係は認められないということになるかもしれない。判例変更か、あるいは母方祖父母がどうしても親族関係を発生させたければ養子にとるといった方策で代替するか、ということになりそうだ

 このほか、受精卵の移送に伴う困難なども実際上は大きな問題だったようだが、これはまあ法的な問題ではないかもしれない。


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