jugement民訴教材:事実の確認を求めた事例
そのような形での請求の趣旨は、却下せざるを得ないが、判決文で認定されている事実は興味深い。
アイデアが出ないまま時間ばかりが過ぎ,みんなかっぱえびせんを食べ続けるばかりだった。 そんな時だった。 その中の1人がつぶやいた。『でもこれ...やめられないな』 するともう1人が『うん ...とまらないな』何気ない一言だった。 『やめられない とまらない』 あのキャッチフレーズが生まれた瞬間だった。
なお、事実についての確認ではなく著作権ないし著作者人格権についての主張をしたのだとしても、確認の利益はないと付言されている。本件事案にこの仮定が当てはまるのかどうか判然とはしないが、以下の部分についてはやや疑問もある。
確認の訴えは,現に,原告の有する権利又はその法律上の地位に危険又は不安が存在し,これを除去するため被告に対し確認判決を得ることが必要かつ適切である場合に,その確認の利益が認められるところ(最高裁昭和27年(オ)第68 3号同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁参照),前記前提事実(第2,2),証拠(甲18ないし20,23ないし25,19,乙1,2)及び弁論の全趣旨によれば,被告は,アストロミュージックから許諾を受けて本件キャッチフレーズを使用しているにとどまり,本件CMについて被告が著作権ないし著作者人格権を有するなどとは主張していないから,原告が有する権利又は法律上の地位に存する危険又は不安を除去するために,本件CMの著作権ないし著作者人格権の存否につき被告との間で確認判決を得ることが必要かつ適切であるとは認め難く,結局,確認の利益を欠くものとして不適法というほかない。
これを読むと、被告が自らの著作権ないし著作者人格権を主張するのでない限り、原告の著作権ないし著作者人格権の存在に危険不安が生じないかのように読めるが、被告が原告の権利を否定して第三者の権利の存在を主張しているのであれば、そしてそれが原告と被告との間の法的紛争につながっているのであれば、原告の権利の確認をする利益が認められ得るところである。
「付言」とはいえ、ややミスリーデイングな表現かもしれない。
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