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2018/01/24

univ:他山の石:大学の現状を示す一つの文書

国立大学の財政状態はずっと追い詰められてきていて、私の勤務校も教授205人分リストラのニュースで悪目立ちしていたが(上記の見出しは事実とは違うことを想像させると言う意味でミスリーディングだと思うが)、新潟大学の先生が退職に当たって書いた文章が現状を端的に表していて、参考になるので紹介する。

新潟大学の話題/ 本当のことを書くと掲載拒否・・・新潟大学人文・法・経済学部同窓会事務局の会報編集方針

ここで三浦淳先生が書かれていることは、「1994年の教養部廃止と2004年の独法化をへて万事が大幅に悪化」とまとめられているが、具体的には、以下のとおり。

・独法化以前の研究費+旅費46万円が一昨年は6万円へ。新大は研究費を出さない大学へ ・教員数激減 ・先生の教養演習での法学部生は英語以外の外国語を知らず  国際化どころか田舎化

Univamphi


ノーベル賞を日本の学者が受賞すると、その時だけは日本中が日本の研究水準の高さに酔いしれるのだが、その時期に研究環境の財政的な基盤が劣化していることや基礎研究軽視の風潮を弾劾する言説が必死で出されるにもかかわらず、それは「日本(の研究)すごい」的な高揚感の中であまり目立たない。

研究者の不祥事、それも研究費の流用とか捏造研究などが問題となると、「けしからん」言説が世間を席巻し、その時に、短期的・刹那的な業績を出し続けないと予算が切れたり任期が切れたりする構造上の問題があることが論じられても、もっぱら不正を行った研究者の個人の責任にされ、さらには組織の監視体制の問題とされ、普通の研究をするには障害でしかない様々な手間・余計な仕事・雑用ばかりが増えて行く。
「短期的・刹那的な業績を出し続けないと予算が切れたり任期が切れたりする構造」は悪化する一方。

そしてそのようなエポックがないときに、上記のような声をあげても、ほとんど注目されることなく、あまつさえ掲載拒否の憂き目にあったりする。
もちろん、同窓会誌の退職の挨拶として期待されるものかどうかという問題はあるし、上記サイトに再現されたやり取りを読むと編集側に悪意があるとは思えないし、掲載拒否というのをそんなに大きく問題視するのはちょっと違うかなという気はする。

いずれにせよ、研究環境の悪化が様々な歪みを招いている一方で、科学技術立国などという言葉は死語なのかと思うのだが、最先端の研究だけでなく教育面でも文科省がお尻を叩いて教育の質を高めようとしている割りには、英語以外の外国語を知らないレベルの「学士」を輩出する機関と成り下がっているのである。

大学の役割を論じるのは難しいが、ともかく間違った方向に進んでいると思うのだ。

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