legal-info:下級裁判所の裁判書公開基準(原文も追記)
奥村先生のブログに、裁判書の公開基準が一部掲載されている。
貴重な資料なので転載させていただく。
追記:なお、別の方からも提供していただいたPDFファイルも掲載する。
「公開裁判例選別基準.pdf」をダウンロード
最近問題となった事例は刑事事件に関するものだが、民事事件についても、「性犯罪及びDV事件等に関する損害賠償請求訴訟等であって,裁判書の記載内容が公にされることにより,加害行為や被害の状況等が明らかとなり,それにより当事者に著しい被害を与える蓋然性があるなど,裁判書を公開すること自体が当事者等に回復困難な被害を与える事件」という項目があり、一般論としては配慮が必要だろうと思う。
しかし判決文の公開は民主主義の基本で書いたように、社会的に関心の高い裁判例という選別基準には根本的に疑問がある。少なくとも各庁が判例雑誌に提供している判決は、全部、ネットに公開してもよいであろう。判例雑誌やデータベース会社はそこから各社の判断で、付加価値を付けた形で、再公開すればよいのである。
もちろん、下記に引用されているような要配慮事例は、性犯罪とかだけではなくもう少し認められても良いと思うが。
以下、奥村先生のブログ「高裁、ネットに判決文誤掲載」より転載
(庶ろー0 6)
平成2 9 年2 月1 7 日
下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について
(事務連絡)
裁判所ウェブサイトの下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準につきまして, 同判例集の意義が社会的に関心の高い裁判例を適時に知ってもらうという速報性にあるとの観点から, 別添の選別基準を策定しましたので, 平成29 年3 月1 日から, 同基準によって掲載裁判例の選別を行ってください。なお,下級裁判所判例集の名称につきましては, その意義が上記のとおり速報性にあることから, 「下級裁判所裁判例速報」に変更することとします。
おって, 下級裁判所判例集に掲載する裁判例における法人等団体名の仮名処理につきましては, 今後も, 原則として, 民事事件については実名で掲載し,刑事事件については仮名処理をしてください(裁判所ウエブサイト上の他の裁判例集(最高裁判所判例集, 高等裁判所判例集, 行政事件裁判例集, 労働事件裁判例集及び知的財産裁判例集) における法人等団体名の仮名処理も今後は同様の基準で行われることとなり, 取扱いが統一されます。)。
・・・
下級裁判所裁判例速報に掲載する裁判例の選別基準
1 判決及び民事・行政訴訟手続上の決定
(1) 原則
原則として,判決言渡日(決定告知日)の翌々日までに,朝日新聞,毎日新聞,読売新聞及び日本経済新聞(以下「日刊紙4紙」という。)のうち2紙(地域面を除く。)に判決等の判断が掲載された事件について,裁判書を下級裁判所裁判例速報に掲載する。
また,これ以外の場合であっても,各庁の判断で,社会的な影響等に鑑みて,広く情報提供をすることがふさわしいと特に認められる事件の裁判書を掲載することもできる。
(2) 例外
ア民事・行政訴訟事件
以下の事件の裁判書については,(1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項により公開停止とされた事件
(イ) 民事訴訟法第92条第1項により裁判書自体につき秘密保護のための閲覧等の制限の申立てがされ(当該申立てを却下する裁判が確定している場合を除く。) ,又は実際に閲覧等の制限の裁判がされた事件(部分的に閲覧等制限がされている場合はその部分)
(ウ) 性犯罪及びDV事件等に関する損害賠償請求訴訟等であって,裁判書の記載内容が公にされることにより,加害行為や被害の状況等が明らかとなり,それにより当事者に著しい被害を与える蓋然性があるなど,裁判書を公開すること自体が当事者等に回復困難な被害を与える事件
(エ)その他,上記(ア)から(ウ)までに準ずる事件
イ刑事訴訟事件
以下の事件の判決書については,(1)に該当する場合であっても,例外的に掲載しない。
(ア) 憲法第82条第2項により公開停止とされた事件
(イ)性犯罪(起訴罪名は性犯罪ではなくても,実質的に性犯罪と同視できる事件を含む。),犯行態様が凄惨な殺人事件など,判決書を公開することにより被害者・遺族などの関係者に大きな精神的被害を与えるおそれがある事件
(ウ) 少年の刑事事件(判決時成人を含む。)
(エ)名誉毀損罪や秘密漏示罪など,判決書を公開することにより再び被害を生じさせるおそれがある事件
(オ)その他,上記(ア)から(エ)までに準ずる事件
以下略
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