Book:リーガルテック
今年読んだ54冊目は、佐々木隆仁氏のリーガルテック
魅力的な題名に惹かれて買ってしまった。
率直に言って、リーガルテックと著者が読んでいるもののほとんどは、デジタル・フォレンジックのようである。
e-Discoveryとこれに必要なフォレンジック技術の必要性は全面的に認めるし、本書の内容も細かいところはともかくとして、分かりやすく、必要性がよく伝わってくる。
しかし、リーガルテックという名前で思い浮かぶのは、それだけではあるまい。
もちろんこの本にも、第4章に至って、AIとIoT、そしてロボットが法務をどう変えるかという話になり、具体的にはディスカバリーツールがAI搭載で高度化することと、AIを活用した弁護士の高度化が論じられている。
それにしても弁護士の実務には、ロボットとか、IoTとかは影響を及ぼさないものであろうか?
別に弁護士の仕事をロボットが奪うという話でなくても、弁護士の日常業務をより精確なものとすることは考えられる。
例えば、スペルチェック・文法チェックのようなリーガルチェック機能を備えたワープロソフトなんてのはどうだろうか? 起案していると、公用文の用字ルールチェックから始まり、文脈を読んで判例・先例との齟齬をチェックして緑の波線がつくとか、自動運転ならぬ自動文章作成機能が法律文書の起案を支援するとか、出来上がった文書について裁判官・書記官の補正(の促し)の先取りチェックをする機能をもつとか・・・。
IoTの文脈では、農業機械や工業のような産業応用が弁護士実務に可能かというと、実務を知らない上に技術的な可能性もよく知らない私では発想に限界があるが、スマホというのはかなり汎用性を備えたIoTツールといってもよいので、音声や画像、動画の取得とデータセンターへの自動バックアップと解析、ミニディスプレーで映し出した画面に手書きが可能となれば、紙を使わないで署名を得ることができそうで、接見の現場では便利に使えることであろう。どのような出先でもデータベースが自由に使えるのは、当たり前となり、今よりも便利になると思いたい。
老眼の私としては、スマホにプロジェクション機能が標準装備されて、任意の壁に画面を拡大投射できるようになればいいなあとかねがね思う。
こうした技術は、それ自体リーガルに限ったものではないが、リーガルテックといっても法務にしか役に立たない独自技術が求められているのではなく、より一般的な技術進歩が法律実務を高度化するということが求められているのである。
そういう内容で、しかも私の発想力を凌駕する本はないかと探している。
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