law:娘が親を勘当〜松本智津夫死刑囚に娘から相続人廃除
今はもちろん勘当などという制度はそもそもないが、その残滓に近い制度が民法に存在し、これを使ったニュースが流れている。
四女は今回、自分が死亡した際に、親に自分の財産を渡さないようにしたい、と家庭裁判所に申し立て、認められた。相続人が虐待をしたり、著しい非行があったりする場合、その相続人に自分の財産を渡さないようにできる、というルールが民法にはある。
第八百九十二条 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
想像できるように、これは親を裏切った子供に相続させないとするのが主な利用場面だが、親が恣意的にそのような行為をすることができては親の権力が不当に強くなるので、虐待、重大な侮辱、そして著しい非行という要件で絞り、家裁の審判を必要としている。
年間の利用件数は、200件から300件程度あるので、それなりに利用はされている。
ということで、子供から親に申し立てるのは確かに珍しい。公刊された先例の中では、妻がDV夫に対して、遺言で相続人からの廃除を行った例もある。
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